岸田氏の態度は立派というより当たり前のことであるし、岸田首相がやろうとしている政策も、すべて当たり前のことだ。しかし、これまで、日本の政治では、この20年、まったくできていなかった。そして、岸田首相も最初の1年は、それほど思い切ったことをしてこなかった。それが、ここにきて、批判を恐れず、戦いを恐れず、踏み込んだ発言、政策の打ち出しを行っている。何があったのか?
おそらく何もない。
閣僚の辞任が相次ぎ、追い込まれて開き直った、という解釈も可能だが、そういうことではないと思う。
あるいは、旧安倍派の次のリーダー争いが空回りし、彼ら(彼女ら)が、勢いを無くしたからでもないと思う。
これら2つの説が、巷の説であるが、私は違うと思う。
それは何なのか。
私の説は、なんでもない、という説だ。
何も起こっていないし、何も不思議はない。何の理由もない。ただ、岸田氏がやるべきことをやりだした。それだけのことだ。
岸田氏がまっとうに振る舞い、真っ当な政策を打ち出す。真っ当なんだから、そこに何の不思議もない。それをいぶかしがる日本のメディア、政治評論家、世論、そちらの方が問題なのだ。君たちには何があったのか。いつから、こんなおかしなメディア、世論、社会、日本になってしまったのか。
ここは日本の試金石だ。日本が真っ当な国、普通の国に戻ることができるかどうか。それを岸田首相は確かめようとしているのだ。
これまで、目先のメディア批判を恐れて、議論となりそうなところはすべて避けてきた。ポピュリズムとメディアに怯え、すべての議論を避け、誰からも文句を言われない、誰にも痛みを与えない議論と政策で逃げ切ろうとしてきた。
しかし、実際には逃げ切れない。日本は破綻する。だから、岸田首相は逃げずに、正面から課題と、日本の課題、日本の運命そして日本社会そのものと向き合うことにしたのだ。
あえて、岸田氏が開き直った理由を挙げるとすれば、それは、日本の状況が追い込まれすぎて、何をしても破綻する状況に陥ったから、そうであれば、正面から堂々と正論で突き進むしか、活路はないと見えたからであろう。
岸田首相の正面突破。これしか、日本を救う道はないのだ。