池袋駅から郊外に向かう主要路線は西武池袋線、東武東上線、JR埼京線になる。その中で、乗車時間30分以内でリセールバリューが高い駅はどこか、東京カンテイの調査を基に詳しく見てみる。
埼京線の十条駅がリセールバリュートップ
東京カンテイでは、10年前に新築マンションが分譲された駅で、現在も中古マンションとしての取引がある駅について、10年前の分譲時の坪(3.3平方メートル)単価と現在の取引価格の坪単価を比較して、リセールバリューを算出している。
10年前の坪単価が200万円で、現在の坪単価が220万円なら220万円÷200万円で、1.1だからリセールバリューは110%になる。数字が大きいほどリセールバリューが高く、小さいなど低いことになる。
池袋駅からの乗車時間30分の範囲となると、西武池袋線では西所沢駅まで、西武池袋線の支線である豊島線では豊島駅が含まれる。東武東上線は新河岸駅まで、JR埼京線では北与野までの各駅になる。その範囲でリセールバリューが高い駅のベスト5は以下の通りだ。
路線名 | 駅名 | リセールバリュー |
JR埼京線 | 十条 | 108.0% |
西武豊島線 | 豊島園 | 104.9% |
東武東上線 | 和光市 | 101.9% |
JR埼京線 | 北赤羽市 | 101.2% |
西武池袋線 | 練馬 | 101.2% |
※上記の表は東京カンテイのデータを基に著者が作成
十条駅西口に37階建ての超高層マンション建設へ
リセールバリューでトップになったJR埼京線の十条駅は、池袋駅まで6分、新宿駅まで12分、渋谷駅までが17分と副都心への快適なアクセスを誇っている。しかもJR京浜東北線の東十条駅も徒歩圏で、こちらは東京駅や品川駅にも直結している。そんな交通利便性とともに、「十条銀座商店街」「十条富士見銀座商店街」「演芸場通り商店街」「十条仲通り商店街」などの昔ながらの商店街も元気で、飲食街も充実。下町の香りがする住みやすい街だが、西口では再開発計画が進んでいて、2022年には40階建ての超高層マンションが誕生、駅周辺の整備も進んで、いっそう便利で住みやすい街になる見込みだ。
東京カンテイのリセールバリューが高いのは、そうした将来性の高さを見込んでのことだろうが、現在の中古マンションの取引価格の相場は220万円台なので、JR京浜東北線の東十条駅の260万円台、JR京浜東北線の赤羽駅の250万円台に比べると割安感があり、まだまだ魅力があるといえるだろう。
さらに、リセールバリュー4位のJR埼京線北赤羽駅は、現在の中古マンションとしての取引価格が200万円を切っているため、ここに注目しておくのもよいだろう。
住宅地としての人気高まる豊島園、和光市
リセールバリュー2位の西武豊島線の豊島園駅は、都営地下鉄大江戸線の豊島駅もあって、池袋経由だけはなく、直接都心にもつながっている利便性の高いエリア。もともとは、レジャー施設である「としまえん」を中心に発展してきたエリアだが、「としまえん」の南側の一帯は、ゆったりとした広めの一戸建てが続くすっきりとした住宅地としても知られている。最近では、東京都がこの「としまえん」を買収して都立の公園として整備するという計画も表面化して、いっそう注目度が高まっている。
池袋駅から乗車時間30分のなかでもリセールバリュー3位に挙がったのが東武東上線の和光市駅。交通アクセス面では東京メトロ半蔵門線も乗り入れていて、池袋駅だけではなく、新宿三丁目駅、渋谷駅などとも直結し、そのまま東急東横線に乗り入れて横浜方面につながっている利便性の高さを誇る。
以前は大手自動車メーカーの工場が立地していたが、現在はその工場も廃止されて、国立の病院や研究所、研修所などが立地する先進技術エリアに変身している。そのなかで一戸建てやマンションの住宅地が形成される一方、武蔵野の面影を残す雑木林も残り、都心近くの利便性の高いエリアとして脚光を浴び、住宅地としての人気が高くなっているようだ。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)
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