2022年も残りわずか。Foodist Mediaでは今年の締めくくりとして、外食業界をリードした3人のキーパーソンに注目。『味坊集団』の梁宝璋(りょう・ほうしょう)氏、『sio』の鳥羽周作氏、浜倉的商店製作所の浜倉好宣氏。彼らの今年の動きを振り返りつつ、来年へと思いを馳せてみよう。

『味坊集団』代表・梁宝璋氏がプロデュースした「ガチ中華のテーマパーク」

2022年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた「ガチ中華」という言葉をご存知だろうか。ガチ中華とは「街(マチ)中華」に対し、日本向けアレンジが施されていない中国オリジナルの中華料理を指す。いわば「中国人の、中国人による、中国人のための料理」だ。

日本在住の中国人向けの店舗を含め、東京では池袋、蒲田、上野・御徒町、埼玉では西川口・蕨エリアなどで多く見られるようになり、ここ数年ガチ中華のブームが続いている。そんなガチ中華を代表する人といえば『味坊集団』の代表、梁宝璋氏だろう。

ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=味坊集団を率いる梁宝璋(りょう・ほうしょう)氏、『Foodist Media』より引用)

味坊集団は、ガチ中華ブーム以前の2000年初頭より、中国の東北地方の料理を広く世に知らしめてきた。1号店である神田の『味坊』をはじめ、羊料理専門『羊香味坊』(御徒町)、鍋料理専門『味坊鉄鍋荘』(湯島)、蒸し料理専門店『蒸籠味坊』(代々木上原)、さらにはテイクアウト&デリバリーをメインとする『好香味坊』(学芸大学)のように、東北料理の様々な面を取り上げた店舗を都内各所で展開している。

また、広東料理&点心料理『宝味八萬』(代々木八幡)、湖南料理専門『香辣里』(三軒茶屋)、北京風居酒屋『老酒舗』(御徒町)など、東北以外の地方の料理専門店を多数プロデュース。ガチ中華を語る上で避けては通れない存在だ。

一人でも「羊の丸焼き」を味わえる、味坊の“集大成”

味坊集団が今年6月、秋葉原にオープンした『香福味坊』は、朝7時から翌朝5時までの営業時間で朝食・ランチ・ディナーまで楽しめるというこれまでの味坊にはなかったスタイル。朝食には超コスパの朝食バイキングがあり、人気を呼んでいる。

「各店舗の特色を結集させた『香福味坊』は、味坊集団の中でも最大規模を誇る“ガチ中華”のテーマパークといえるでしょう。店内に設けた釜では羊の一頭丸焼きを提供しており、焼き上がり時に繰り広げられる解体ショーは大盛況で、たくさんのお客様に楽しんでいただいています。他のどんなレストランでも見ることのできない景色を、香福味坊でぜひご覧ください」(株式会社L&L[味坊集団]総務部 多田俊美さん)

そんな羊の丸焼きも『香福味坊』では予約不要で一人前から注文できるという。

ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=香福味坊名物・羊の丸焼き、『Foodist Media』より引用)

「また、味坊集団の各店舗では化学調味料を使わず、自社農園で育てた無農薬野菜を中心に提供しています。『香福味坊』はもちろん、それぞれの個性を持つ味坊集団の各店舗も来年は一層ご愛顧いただけるようにしたいですね」(多田さん)

一周年を迎えた、鳥羽周作氏プロデュース『Hotel's』

「ミシュランガイド東京2020」から4年連続で一つ星を維持している『sio』のオーナーシェフ・鳥羽周作氏。彼が表参道に2021年オープンした『Hotel's』は先日一周年を迎え、ますます勢いが盛んだ。

ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=『sio』オーナーシェフの鳥羽周作氏。2022年はガストとのコラボ「感動ハンバーグ」も記憶に新しい、『Foodist Media』より引用)

「Hotel'sのコンセプトは “架空のホテルのレストラン”です」(鳥羽周作氏)

モーニングは、こだわりの詰まったここだけでしか食べられない平日の和定食と、土日祝はフレンチトーストや「トバグリドル」などの洋食を提供しており、連日満席の盛況ぶり。「トバグリドル」とは、メープルシロップが染み込んだイングリッシュマフィンに自家製ソーセージとコクのあるチェダーチーズを挟んだHotel'sオリジナルの逸品だ。ランチは女性の利用が8割ほど。客層は幅広く、ママ友ランチや、女子会、記念日利用の方が多い。

ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=Hotel'sで人気のモーニングメニュー「アボカドのスモーブロー(北欧風オープンサンド)」、『Foodist Media』より引用)
ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=ランチショートコースに登場するスフレオムレツはHotel'sのスペシャリテのひとつ、『Foodist Media』より引用)

「ディナーはお任せコースが一番人気です。すべて食べ終わった後に心地よい満腹感を感じてもらえるよう、一つひとつの料理の量感が適切なボリュームになるよう調節しています。最初から最後まで味に抑揚をつけて、感動の振り幅を至る所に散りばめ、楽しんでいただける料理構成を意識しています。さまざまなコースに合わせたペアリング(アルコール、ノンアルコール)も大人気です」(Hotel'sスタッフ)

ガチ中華、鳥羽シェフ、龍乃都飲食街…、2022年の外食業界をリードした3人とその仕事
(画像=ディナーコースの逸品「薪火焼きステーキ」、『Foodist Media』より引用)

最後に鳥羽シェフからいただいた2023年の抱負を紹介しよう。

「スタッフのさらなる成長に期待し、時間をかけて待つことを大事にしたいですね。短期的な結果を求めるのではなく、長期的な視点を持って僕自身も含めてさらに成熟させていく1年にしたいと思います」(鳥羽周作氏)