【ボディビル世界チャンピオン鈴木雅選手の回答】
60分を大幅に超えるトレーニングにはデメリットがあり、短すぎると筋肉に効果的な刺激を入れられるかが重要になります。
まず、1回あたり20~30分のトレーニングでも効果が出るかについてですが、トレーニングの内容によると思います。トレーニングの質を考える場合、そこで問われるのは時間とか量とかではありません。20分とか30分とかのトレーニングでも、しっかりと筋肉を刺激できれば効果は出ます。
ただし、これは増量したいときもそうなのですが、特に減量をしたいという場合、食事は重要な要素になってきます。さらに、食事にプラスして、日常生活でもよく歩くようにするなど、活動量を増やすことが必要になってくるかもしれません。
次に、逆にトレーニング時間が長すぎることのデメリットについてですが、まず前提として私たちの身体では常に筋肉を合成する作用(同化作用=アナボリック)と分解する作用(異化作用=カタボリック)が起こっています。ハードなトレーニングを開始すると、徐々に同化作用が高まり、約20分ほど経過したあたりから同化作用のピークになります。それはトレーニング開始後40分後から60分後ほどまで続くと言われています。そこから今度は次第に異化作用に傾いていきます。60分を大幅に超えるトレーニングが無駄だというわけではありませんが、筋肉を発達させるという面では効率は悪いと考えられます。
それに加えてトレーニング時間が90分を超えたあたりから、テストステロンのレベルが落ちてくると言われています。テストステロンとは筋肉の発達に大きく関わる男性ホルモンで、そのレベルが低下するとなると、90分を超える長いトレーニングはデメリットがあると考えられます。また、トレーニング時間が長くなると、集中力も低下してくるはずです。集中力の低下は、当然のことながらトレーニングの質の低下を招きます。
鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。
取材:藤本かずまさ 構成:FITNESS LOVE編集部
提供元・FITNESS LOVE
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