サーキュレーション社におけるウェビナー疲れ対策の取り組み
最後に、サーキュレーションが2019年から3年以上かけて取り組んできた分業型営業組織におけるウェビナーの位置付けと活用方法についてご紹介します。
①商材を押し売りをしない
サーキュレーションではウェビナー「ソノプロ」を、視聴者が求める「経験・知見が豊富なプロ人材が、最新の事例を生の言葉で語る」リスキリングコンテンツとして位置付けています。
YouTubeでのアーカイブ配信も行っており、より多くの視聴者に届けられるような設計です。
ご視聴いただければ分かると思うのですが、その中で当社の商材であるプロシェアリングについては冒頭数分以外はほとんど改まった紹介をしていません(アーカイブからも一切省いています)。
そのため、視聴者にとっては押し売りに感じることがなく、結果として同じ視聴者から何度も別のテーマに応募いただけることも多くなっています。
②自社ウェビナーをインサイドセールスの育成に活かす
視聴者にとって有益であるということは、社内のメンバーにとっても勉強になるはずです。
サーキュレーションのインサイドセールス組織では、ウェビナー後のアプローチ前には全員が一緒にウェビナーのアーカイブを視聴した上で、顧客のための情報提供のあり方についてディスカッションをしています。
この議論を行うことで、顧客にとってより有益な情報提供(アプローチ)を模索し、改善するサイクルが回っているのです。
視聴者目線で設計された自社ウェビナーを視聴して議論することは、インサイドセールス組織の若手にとっては顧客志向の提案のトレーニングにも、今後のキャリアに活かせる学びの機会にもなります。
顧客のためになる自社ウェビナーは巡り巡って社内メンバーの育成手段の1つとしても活用できるため、ぜひウェビナー企画にはこだわり抜くことをおすすめします。
ウェビナーコンテンツは視聴者ファーストを徹底しよう
企画内容をリッチにするためには、視聴者にとって参考になる事例を細かくコンテンツ化するのがおすすめです。
「◯◯というテーマで成果が出た!」という事例1つとっても、そこまでの経緯や成果が出た後の展開など、個人に紐付くストーリーは十人十色です。視聴者に最も刺さる事例とストーリーを語れそうなターゲットを探して、内容を作り込みましょう。
しかし、いきなりの依頼でそこまで話してくれる人がどれほどいるかは分かりません。登壇者に生々しい話を語ってもらえる関係性創りや、ウェビナーを通して実現したいビジョン創りから、ウェビナー企画は始まっているのです。
ここまで、視聴者がウェビナー疲れを起こす原因や当社の取り組み、さらに組織内連携についてご紹介しました。全体を通して言えることは、何を置いても視聴者のために考え抜くことが1番の本質的な解決策であるということです。
逆にそこまで考え抜くことでメリットがないのであれば、ウェビナー施策を続けること自体を問い直し、リソースを再配分するなどの検討を行っても良いと思います。
読者の皆様がより顧客のニーズを捉え、関係性を構築できるようなマーケティングを実行できることを願っています。
<著者プロフィール>
赤羽宏之
株式会社サーキュレーション
経営管理本部
企画・マーケティング・IT部 部長東京大学文学部卒業後、WEB2.0などのCGM黎明期のWEB事業に魅力を感じ、モバイルファクトリーに入社。その後、Webマーケティング会社の取締役としてSEOサービスの開発・運用、ECサイトの立ち上げ・グロースなどに従事。外部人材の力を借りて過去に自らのWEB技術力を培った経験から事業の可能性を感じ、2017年にサーキュレーションに参画。全社のマーケティングを管掌。マーケティングとテクノロジーがオーバーラップする領域を得意とする。