台湾南部に位置する台南は、台湾の京都にも例えられる歴史の街。街のあちらこちらに残る歴史的建造物のひとつである「知事官邸」が、このたび「知事官邸生活館」と名称も新たに、新しくリニューアルしました。古跡ならではのレトロさにハイセンスな雰囲気が同居した館内をご紹介します。

目次
日本の皇族も立ち寄った知事官邸の歴史
「知事官邸生活館」として新しくオープン

日本の皇族も立ち寄った知事官邸の歴史

この建物が「台南県知事公邸」として建てられたのは、今から100年以上前の1900年。アーチ型に盛り上がった屋根中央の外壁部分が、時計のようにみえることから、当時は「時鐘樓」と呼ばれていました。実際には時計は設置されていなかったのですが、2階建ての洋風なたたずまいに、当時はたくさんの人々が驚かれたと思います。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

中央と両端が八角形に飛び出している特徴的な建物で、以前は日本の皇族の宿泊施設としても利用されていました。現在、台湾に残されている皇族宿泊施設は、台北の台北賓館とここの2か所のみです。昭和天皇がまだ皇太子のときに訪れたこともあり、館内には当時の様子が写真とともに紹介されています。

戦後は、地政事務所や東区役所などの変遷を経て、1998年に市定古跡に登録。その後は音楽会館として活用されるようになり、2015年には、台南の古跡デパートとして有名な「林百貨」の経営グループによる、レストランや雑貨販売の運営が始まりました。経営契約が満期を迎えた後は、安提阿設計によるリニューアル工事が行われ、去年11月8日に「知事官邸生活館」としてオープンを迎えることになったのです。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

「知事官邸生活館」として新しくオープン

新しくなった「知事官邸生活館」では、歴史的な建築物としての観点だけでなく、ショッピングやグルメ、アート鑑賞を楽しむことができます。まず、入って左手にあるのが、子供向けの本が並ぶ「小兒子書房」。実際に本を手に取ってゆっくりと読むことができるスペースになっています。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

反対側の右手には、メイドイン台湾の雑貨や食品が並ぶショッピングコーナー。

知事官邸の外観が描かれた、「友咖啡」のコールドドリップコーヒーや、「台湾花磚博物館」のマジョリカタイルをモチーフにしたアクセサリーなどなど、ほかではあまり出合えない雑貨などが並んでいます。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

正面奥は、まるでおしゃれなリビングルームのような空間になっていて、洗練された家具やキッチン雑貨などが並んでいます。ハイセンスな家具や小物が、歴史の刻まれた建物によく合います。ショールームのようでもありながら、ここに置かれた家具や雑貨は購入することができるようです。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

1階には、隠れ家のようにひっそりとあるビストロも。筆者が訪れたときはまだ準備中でしたが、大人な雰囲気漂う穴場空間でいただくおいしい料理とカクテル...なんて、とても贅沢な時間が過ごせそうです。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

知事官邸の象徴的な存在となっている階段は、いち段いち段上るたびにギシギシときしみ、昭和の雰囲気がただよっています。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

その階段を上がった2階には、ギャラリースペースとアパレルの販売コーナーがあり、ときどきワークショップが行われることもあるそうです。

台南古跡さんぽ!新しく生まれ変わった知事官邸生活館へ
(画像=『たびこふれ』より 引用)

また週末には、屋外にてフリーマーケットなどのイベントが行われることもあります。なかなか気軽に海外旅行が楽しめなくなってしまった今日この頃ですが、次回の台湾旅行の際は、ぜひ古都台南で古跡めぐりを楽しんでみてくださいね。