ECの発展と定着により、我が家にも数多くの段ボール箱が日々届けられるようになった。ブラックフライデーセール真っただ中の11月下旬などは、その量が倍増している。それに伴って、困っているのが段ボールの荷解き作業である。

「段ボール箱の処分」問題に見た、アマゾンのカスタマーファーストの姿勢
(画像=Rawf8/iStock、『DCSオンライン』より 引用)

アマゾンの箱に見られた小さなイノベーション

ご存知のように、段ボール箱は、上面をガムテープか透明の幅の広いテープで留めている。このテープがなかなか厄介で、剥がすのに一苦労を強いられる。

テープの端を爪でひっかいて起こすことが第一手段。それでも剥がれない場合には、上面にぺったりと密着するテープをはさみやカッターナイフなどで突き刺し、穴を開け、起点をつくり、そこから段ボール箱を開けるという戦術をとっていた。

 段ボールが届くたびに「何とかならぬものか」と憂鬱にさせられたものだが、数年前からアマゾンの段ボールには、イノベーションのメスが入った。

もちろんアマゾンの段ボールも、テープは上面から側面まで貼られている。違うのは、テープが延びる側面におにぎり型のミシン目を付け、★印を印刷。「ここを押すとテープがはがせます」と書いてあることだ。

この指示にしたがって、さっそく押してみると、あっという間にテープをはがすことができ、ストレスのない開梱が可能になった。

改めて、アマゾンの段ボール箱をためつすがめつ眺めてみれば、底面の内側には、台紙を固定するための接着剤がついている。また、側面下部には、QRコードが印刷されており、梱包状態についての意見を投稿できるようになっている。

「何をいまさら、そんなことは知っている」とおっしゃる方も少なくないかもしれないけれども、段ボールひとつとっても、手を抜かずに小さなイノベーションを繰り返し、カスタマーエクスペリエンス(顧客経験)の向上に努めているアマゾンの姿勢はお見事の一言に尽きる。

アマゾンから届いた1通のメール

ただ、私的には日進月歩を認めつつも、アマゾンの梱包には、まだまだ不満を持っている。

それというのも、商品の大きさに比して過剰包装ともいうべき、段ボールが次々と配送されてくるからだ。ネームペン1本が段ボールに入って到着することもしばしばだ。

その結果、迷惑としか表現できない量の段ボールに我が家は占拠され、そのたびに捨てることに一苦労を強いられる。新聞紙や雑誌とともに古紙に分類される段ボールは1週間に一度の回収なので、多い時には家の中が段ボールだらけになってしまう。

なんとかならないものかとうんざりとしていたところ、アマゾン ジャパンから1通のメールが届いた。

私が過去に注文したある商品について、「配送した商品の状態や梱包方法など、アマゾン ジャパンに対する意見と評価を聞かせてほしい。今後の改善の参考にしたい」という内容だった。

ずいぶん前にある食品スーパー企業が運営するネットスーパーに500mℓのペットボトルを24本注文したところ、6本ずつ入れられた4つの2重包装レジ袋が届いたことがあった。リアル店舗の店頭では、業界の先陣を切ってレジ袋を有料化し、環境保全に注力している割には、ネットスーパーでは、こんな有様なのでびっくりしたものだ。

その後、この梱包については改善が図られ、24本ならばメーカー仕様の段ボールケースで届くようになったが、私が意見を聴取されたことは過去に一度もなく、加工食品や生鮮食品の梱包には依然として問題が残る。

 ところがアマゾンの場合は、自らがお客のもとを訪れ、尋ね、業務改善や梱包改善に役立てている。企業規模が拡大しても、「Customer First(カスタマーファースト)」を標榜し実践している。

SDGs的な観点からも、ECの梱包材問題は火急の課題と言っていい。同社がこの問題をいかに向き合って解決していくのか、しっかり見届けたい。

提供元・DCSオンライン

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