withコロナの2020年、「3密」を回避できるレジャーとして、バーベキューやキャンプに注目しているファミリーは多いようです。しかし、アウトドアレジャーでの感染報告もあり、心配はぬぐえません。パパ小児科医の黒澤先生にお聞きしたところ「おさえるべきポイントをしっかりと注意すれば、過度に恐れずにアウトドアレジャーを楽しめますよ」とのこと。するべき安全対策やリスク回避、人数などの気になる点について、詳しく教えてもらいました。コロナだけでなく、熱中症や食中毒の注意喚起も必読です。
※本記事は取材時(2020年8月19日時点)の情報に基づいています
1.どうする?バーベキュー・キャンプwithコロナ
Q.アウトドアレジャーでも感染報告が出ています。バーベキューやキャンプに行く際に、するべきことを教えてください。
A.まず、新型コロナウイルスの性質を、今一度おさえておきましょう。
- 子どもは重症化することが少なく、高齢者ほど重症化のリスクが高い。
- 感染の初期症状は通常の風邪と似ているため、気づきにくい。また、無症状の人から周囲に感染することもある。
- 主に唾液や鼻水の粒子が空中を舞うことによって感染が伝播(飛沫感染)する。患者とすれ違う程度では通常感染しない。
- 3密の状態、フィジカルディスタンスを保たない(2メートル以内に近づく)、会食(特にお酒が入り、会話の距離が近くなりやすい場合)などで感染が起きやすい。
マスク・手洗いは、予防効果がある。
新型コロナウイルス感染はもちろん避けなければならないのですが、長びくwithコロナの状況下で、お子さんやその周囲の人たちの心身の健康や成長が損なわれるのも避けなければなりません。したがって、上記のウイルスの性質をふまえ、自分たちや周囲の状況を確認しながら、その都度、外出のメリット・デメリットを天秤にかけて考えましょう。いざ出かける際には、以下のことを確認してください。
<出かける前にするべきこと>
事前の体調管理
早寝早起き、3食しっかり食べるなどは、体調管理の基本です。子供だけでなく、大人も気をつけましょう。
出発前の検温
体温は朝低め、夜高めです。前日の夜に熱が出ていた場合、朝下がっていてもその後に発熱することはよくあります。外出は見合わせましょう。
移動計画
公共交通機関は数分間で換気されるとされており、過度に感染を心配する必要はありません。途中に寄る場所で3密になりそうなところは避けるのが無難です。
日頃のこまめな手洗い(アルコール消毒を含む)、マスク
感染予防の基本です。手は無意識に顔を触ってしまうことが多く、目・鼻・口からウイルスが侵入してしまいます。手洗いは外出先でも帰宅時にも、こまめに行ってください。マスクについては、熱中症のリスクも指摘されているため、注意が必要です(後述) なお、「帰宅時に服をはらう」「帰宅直後に入浴する」「ヨードうがいをする」といったことについては、はっきりした予防効果は明らかになっていません。
<バーベキューやキャンプを避けるべき場合>
- 参加者に体調不良の人(発熱・風邪症状・味覚や嗅覚の異常)がいる場合
- 参加者に新型コロナウイルス感染患者・濃厚接触者がいる場合
- 居住地や目的地で新型コロナウイルス患者が増えており、自治体などから注意喚起が出ている場合
Q.バーベキューやキャンプで、特に感染リスクがありそうな行為はどんなことですか?
A.新型コロナについていえば、上述したように、唾液・鼻水などウイルスが存在している体液が他人にうつることで感染します。したがって、下記ような行為は感染リスクが高いと思います。
<バーベキュー&キャンプで、感染リスクが高い行為>
- 鉄板上で同じ食べ物をつつく
- 大皿やカップ、トングなどの共用
- お酒を飲んで大声になる、会話の距離が近くなる
タープテントの中で話す、はしゃぐ
ただし、子どもから周囲に感染が起きることは必ずしも多くないようなので、アウトドアで多少はしゃいでも、酔っぱらった大人が大声でしゃべるよりも感染リスクは低いと思います。
Q.誰と行くのが安全ですか?
A.同居している人とは、家でもアウトドアでも感染リスクに差はありません。したがって、参加者に体調不良の人がいなければ、アウトドアレジャーを取りやめる必要はありません。同居していない人については、判断が難しいところです。
- 感染流行地域からの参加者
高齢者など重症化が心配される参加者
がいる場合は、リスクを完全に回避するためにはレジャーをとりやめるという判断もありでしょう。
同行者によっては、感染リスクを下げるという意味で、- 泊りではなく日帰り
- バーベキューなどの会食は避けて、ハイキングや自然遊びなどフィジカルディスタンスが保てるレジャーにとどめる
- 人数をしぼる
場所選び(後述)を慎重に行う
などの工夫も検討したほうがよいでしょう。
2.コロナ対策のための「持ち物」と「場所選び」
Q.コロナ対策のために持参すべきものは?
A.感染予防グッズであるマスク、アルコール消毒はできるだけ持参してください。ただし、アルコール消毒液は濃度が高いため、バーベキューなど火のそばで不用意に使用すると引火する危険があります。慎重に取り扱いましょう。ウェットティッシュでもある程度は代用可能です。
宿泊する場合は、体温計、保険証や医療証券なども持参したほうがよいでしょう。
また、トングやお皿といったバーベキュー&キャンプ用具については、自分のものを持参するのは安心ではありますが、通常の施設の貸し出し品は洗って消毒などはしているはずなので、安全性にはそこまで差はないと思います。
Q.対策が万全なバーベキュー・キャンプ場選びのポイントは?
A.前述の3密、フィジカルディスタンスに対して施設がどれくらい留意しているか、事前に調べておくとよいでしょう。
<場所選びのポイント>
- オープンスペースかどうか
- 隣のグループとどれくらい離れているのか(仕切りがないならば2メートルは必要)
- 仕切り・換気などの感染対策をしているのか
- 予約制で人数制限などを行っているか(特に、普段と比べて人数を減らしている場合は感染対策をしていると考えてよいでしょう)
- 参加者に感染対策(マスク着用など)をしっかり求めているか
キャンセル規定がどのようになっているか
これらは各施設の公式サイトなどで確認できることも多いですし、不明の場合は直接問い合わせるのもよいでしょう。また、キャンセル規定についても確認しておくと安心です。直前に体調不良になったとき、キャンセル料を気にして無理に出かけてしまう、というのは絶対に避けなければなりません。
Q.手ぶらバーベキューやグランピングはオススメですか?
A.はい、おすすめです。プライベート空間が保たれ、水場など共有スペースを使う機会が少ないのは、感染予防になります。また、施設から提供・貸借されるバーベキュー用具についても、前述のとおり、持ち込みとの安全性の差はありません。マスクやアルコール消毒類の感染予防グッズを持っていくゆとりもできますね。
3.コロナだけじゃない!熱中症と食中毒にも要注意を!
Q.新型コロナ以外に気をつけたほうがよいことは?
A.夏のキャンプ・バーベキューは、熱中症、食中毒(火の通りが悪かったり、高温多湿下で放置した食物を食べる)、虫刺されなど、新型コロナ以外にも気をつけなければならないことがあります。新型コロナよりも重大な結果になることもあるため、これらにも十分に注意しましょう。
特に熱中症は、新型コロナ対策のためのマスク着用の影響で今年は例年以上に増加しています。熱中症は冷却と経口補水液摂取による予防が第一です。環境省・気象庁の暑さ指数などを参考にして、熱中症のリスクが高いときには計画中止や変更も検討すべきです。
<熱中症とマスク、気をつけるべきこと>
2歳未満にはマスク厳禁
小児科医会が注意喚起しています。
ソーシャルディスタンスが保てる場所ではマスクを取る
周囲に他人がいない場合などは外しても大丈夫です。ただし、食事中を含めて、大人の大声のおしゃべりは控えましょう。
体調に違和感を感じたらマスクを取る
めまい、たちくらみ、気持ちが悪い、息苦しいなどは熱中症の前触れの可能性があります。すぐにマスクを外して周囲に助けを求めましょう。自分では気づかないうちにこの状態になってしまうこともあるので、お互いに同行者の様子を気にかけることが大切です。
4.黒澤ファミリーのお気に入りエリア
Q.黒澤先生は、バーベキューやキャンプに行かれますか?
A.withコロナ下では、感染制御と経済活動の両立が話題となります。しかし、小児科医として、あるいは一人の親としては、感染制御と子どもたちの心身の健康・発達の両立こそが大きな問題だと考えています。そこまで、大げさに考えなくとも、せっかくの夏を安全に楽しく過ごしたいものですよね。
わが家では、上記の注意点に気をつけながら、しばしばアウトドアレジャーを楽しんでいます。最近のお気に入りエリアは「奥多摩」です。わが家から県境を越えずに行ける、人出が比較的少なく3密が回避できる、自然が多くリフレッシュでき、昆虫好きの子どもたちも満足、日帰りレジャーなので感染リスクなども比較的低い、とメリットが多いです。ただし、移動手段は電車なので、マスクをつけて大声でおしゃべりをしないように、それぞれの年齢でわかる範囲で注意を促しています。
おさえるべきポイントをしっかりとふまえ、締めるところは締める意識を持っていれば、過度に恐れずにバーベキューやキャンプを楽しめると思います。子どもといっしょに羽を伸ばせるタイミングをできる限り作って、良い思い出を残したいですね。
文・るるぶkidsライター/提供元・るるぶkids
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