「フィナンシャル・タイムズ」紙は、「日本の外交政策に『ルールに基づく世界経済秩序の擁護者』という新たな役割を持ち込み、法の支配へのコミットメントを共有するアジアでの連携を追求した」とした。
さらに、マイケル・オースリン(スタンフォード大学フーバー研究所)が書いて、Foreign Policy Magazineに書いてニューズウィーク日本版(電子版)に転載されている「安倍晋三は「顔の見えない日本」の地位を引き上げた」という記事では、「アメリカが安定した日本に慣れ過ぎてしまった今、今後は嬉しくない驚きが待っているかもしれない。米政府は過去10年近く、日本の指導者が日米同盟に完全に忠実で、国会でも多数の支持を得られて、世界第3位の経済大国にふさわしい役割を果たすかどうか、心配する必要がなかった。遠くない将来、アメリカと同盟国はそんな安倍時代を懐かしく思う日が来るかもしれない」としている。
メルケル首相が、「安倍首相は常に多国間主義に向けて努力してきた。日独間の距離にもかかわらず、両国は基本的価値を共有していることを示した」としているのは、こうしたことを評価したものだ。
さまざまな方面でのトランプの強硬策は、長期的にはアメリカの信用を傷付けマイナスになる可能性もあるが、短期的には世界最強のアメリカが力を振り回せば、世界各国はひれ伏すしかないのだ。そういう中で、日本やフランスのように、首脳がトランプと良好な関係にある国は、そうでない国に比べればやはり加減してくれている。
日本についても、市場の閉鎖性や対日貿易赤字を批判しつつも、「シンゾーを困らせたくない」ということでだいぶお手柔らかで済んでいることは間違いない。
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