政府が軌道上の衛星の燃料補給や改修事業に乗り出すケースが増えてきています。
12月7日、アストロスケールとJAXAが、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップの枠組みのもと、「衛星への燃料補給サービス」に関するコンセプト共創活動を開始したことを発表しました。
宙畑メモ
JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)とは、事業化意思のある民間企業や技術シーズを持つ大学、研究機関といった、民間事業者等とJAXAが人的リソースや資金を持ち寄り、企画段階から早いサイクルで事業コンセプト等を共創することで、早期の事業化またはJAXAにおけるプロジェクト化を目指すプログラムです。
アストロスケールは、2021年3月に打ち上げられたデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」のミッションでの実証成果を補給対象衛星へのランデブおよび近傍運用に応用するほか、開発を進めている宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術を燃料補給作業へ適用し、「衛星への燃料補給サービス」の事業性や海外拠点との国際連携を見据えた検討を実施します。
また、JAXAは軌道上での燃料補給システムや補給技術を評価するための地上試験装置の技術的実現性を検討し、将来の研究に活用すると共に、それらを通じた技術的知見や技術アドバイスを提供します。

アストロスケールの代表取締役・伊藤美樹氏は、
「寿命延長の機能の一つとして、燃料補給に関してJAXA様とともに取り組みを進められることを嬉しく思います。2030年までに、寿命延長を含む軌道上サービスを日常的な基盤インフラサービスにすることができるでしょう」
とコメントを発表しています。今回の共創活動では、衛星への燃料補給サービスは、燃料補給を前提に開発された衛星だけでなく、そのような設計が施されていない衛星にも軌道上での燃料補給ができるミッションコンセプトを検討する予定です。多くの静止軌道衛星への燃料補給が可能になることが期待されます。
提供元・宙畑
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