魚の冷凍時の注意点

では本題です。長期間の保存が利き便利な冷凍保存ですが、魚を冷凍した際、カチカチになってしまって、全く使い物にならなかった経験がある人もいるかもしれません。

おそらくそれは、プラスチックのトレーからそのままラップにくるんでポン。こんな感じで保存したときだと思います。魚の身には水分が多いため、しっかりとした手順で保存しないといけません。

冷凍すると細胞が壊れやすくなる

水を凍らせると氷になり、その氷を溶かせばまた水に戻ります。しかし、食材は一度凍って、その後解凍をしても、冷凍前と同じ状態には絶対に戻りません。魚の身には約60%の水分が含まれており、これらの食品を生の状態で冷凍すると、食品細胞の一部の水分が凍り始め、「氷の核」ができます。

氷の核は、まわりにあるより小さい氷や水分を抱えこみ、体積を増やして「氷の結晶」に変化していきます。※ペットボトルに水を入れて凍らせると、翌日パンパンに膨らんで凍っているのと同じ現象

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷凍した魚の身は水分によって膨張しダメージを受ける(提供:TSURINEWS編集部)

すると、膨張した氷の結晶は、魚の身の細胞膜や細胞壁を押しつぶしたり、こわしたりしてしまいます。その状態から冷凍した食品を解凍すると、細胞内の氷が溶けて水になり、傷ついた細胞から流れ出ていきます。

この水分は「ドリップ」と呼ばれるもので、これには、うま味や栄養も含まれています。それが流れ出るということは、正しく解凍しないと味わいがぐっと落ちることを意味しているのです。

魚を冷凍する時の5つのコツ

では魚は冷凍はしないほうがいいのでしょうか?そんなことはありません。しっかりとした手順で冷凍することによって、限りなく少ないダメージで冷凍することができます。そのためには冷凍室へ入れる前にしっかりと準備をすることが大切です。

釣った魚はしっかり冷やす

まずはその魚の鮮度の問題です。一度冷凍して解凍された魚や、時間が経って鮮度の落ちた魚など、すでに身が劣化している魚を冷凍すると細胞が壊れやすく、解凍時にドリップが多く出て旨味もなくなってしまいます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷凍する時の鮮度も重要(提供:TSURINEWS編集部)

スーパーで魚が安いときに買って冷凍しておきたい……といった場合は、生の鮮度のいい魚を選ぶようにしましょう。また釣りの場合は、釣った魚はしっかりと保冷して持ち帰り、鮮度が落ちないようにすることが肝心です。

まるごと冷凍はNG

魚を丸ごと1尾冷凍する場合、内蔵から傷み始めるため、エラ、内蔵、ウロコは冷凍前に必ず取り除くようにしましょう。魚は内臓から腐敗が始まります。魚の臭みの原因は血液であり、エラには血液が特に多いため、保存前には必ず処理をしましょう。

水分を拭き取る

ドリップや水が付着したまま凍らせると、魚のダメージも大きくなるほか、臭みの原因となるので、必ず水分を拭き取ってから冷凍室へ。お腹を開いた魚の場合は、お腹の中も隅々までしっかりと拭くこと。切り身の場合は、身の表面に付いた水分をキッチンペーパーで拭き取りましょう。この一手間が非常に大事なのです。

空気に触れないようにする

上記の下処理をしたらあとは冷凍室へポーン。といきたいところですが、このままの状態で入れてしまうのはNG。最後まで丁寧に。魚の身を凍らせる際はラップにくるむだけでは物足りません。これは空気に触れると細菌が繁殖したり、酸化しやすくなったりするからです。

なるべく空気に触れないようにラップでしっかりと包み、さらにジップロックなどの保存バッグに入れ、空気をできる限り抜いて冷凍保存しましょう。

急速冷凍を心がける

冷凍室に入れたあと、凍っていく過程で細胞にダメージを与えやすい温度が存在します。その温度は−5から−1℃といわれていて、この温度帯の時間が長いほど細胞が膨らみやすく魚へのダメージは大きくなってしまいます。

魚の『冷凍』完全ガイド 鮮度を保つ5つのコツ&保存期間延長法冷蔵庫に急速冷凍機能がある場合は使ってみよう(提供:TSURINEWS編集部)

そこで、冷凍室内の冷風の当たる場所に置く、熱伝導率のいいアルミトレーに載せる、冷蔵庫の急速冷凍モード機能を利用するなどして、できるだけすばやく冷凍することで魚へのダメージを抑えることができます。