【実機レビューモデル-其の3】
SINN(ジン)
358.SAフリーガー.B.E
1996年に登場したロングセラーモデル、356.フリーガーをベースに開発された進化形モデル。アンティークの軍用クロノグラフを思わせる意匠、DIN8309(耐磁性)、DIN8310(防水性)のドイツ規格に準拠する機能性を継承しつつ、42mmケース(356.フリーガーは38.5mm)と5mmのソリッドガラスを研磨したドーム形のサファイアクリスタル風防により堅牢性を強化。独自の除湿機構であるArドライテクノロジーにより、精度の安定化を実現している点も特徴だ。

■SS(42mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.SW500)。62万7000円
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ドイツ軍の計器飛行教官であり、第2次世界大戦時は自身もパイロットとして活躍したヘルムート・ジンが創設したジン。当初より極限的状況でも機能を保証する実用時計を数多く製造し、1967年にはモデル155がNATO軍の装備品として制式採用された歴史をもつ。現在は特殊技術を採用したハードスペックモデルを展開している印象が強いが、今回注目したのは96年に登場した代表作のひとつ、365.フリーガーをベースにしたクラシックなパイロットウオッチだ。
5分刻みでボックス形の夜光マーカーを配した外周の目盛り、夜光アラビアインデックス、先端を尖らせた注射器形の夜光針など、原点となる356.フリーガーの意匠を継承しつつ、ケースサイズを38.5㎜から42㎜に拡大することで現代的なアレンジをプラス。ミリタリーウオッチとしてのニュアンスはやや薄くなるが、アンティークテイストを醸すアイボリーカラーの夜光インデックスを配置したダークブルーの文字盤もアクセントを加えている。
ムーヴメントは最大46時間パワーリザーブを備えるセリタのSW500を搭載。ロングパワーリザーブ化が顕著な昨今の流れからするとややスペックに物足りなさを感じるが、特別な工具を使用して厚さ5㎜のソリッドガラスから削り出されたドーム形サファイアクリスタル風防、時計ケース内の湿気を取り除いて潤滑オイルの劣化を防ぐArドライテクノロジーのほか、防水性、耐磁性に関してドイツ規格に準拠するスペックを備えている点は魅力。実用クロノグラフとして確かな信頼性を備えた良作だ。
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水蒸気を取り除いて潤滑オイルの劣化を防ぐArドライテクノロジー。吸収された水分量が増すにつれて、淡いライトブルーからネイビーブルーへと色が変化する。
セリタのSW500を搭載。ブルースチール のネジ、受け部分の装飾など丁寧な仕上げが施されている。パワーリザーブが最大45時間である点は留意しておきたい。

ケースは直径42mmで厚さが15mm。やや厚みのあるフォルムとなっているが、ラグを手首に向けて湾曲させることでホールド感を高めており、装着感は良好だ。弓カンをラグの内側に納め、手首に沿って傾斜した中央の二つのコマで弓カンとブレスレットをつなぐ構造も装着感を高めるポイントとなっている。
》編集部・堀内の総評

「1996年の登場から26年以上のロングセラーを誇る名作からデザインを継承しつつ、ベースモデルの魅力を壊さないバランスでケースのサイズアップや文字盤のアレンジを加えているのがポイント。ミリタりーモデルならではの無駄のない機能的なデザインは、流行に左右されることなく長く愛用することができます。パワーリザーブが46時間である点と60万円台の価格は少し気になりますが魅力的なモデルだと思います」(編集部:堀内)
文◎船平卓馬(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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