アオカビの進化を利用してスーパーバグに対抗する

世界初の抗生物質「ペニシリン」の元になったアオカビのDNA配列がやっと解読される!発見当時から”遺伝子が変異していた”という驚きの結果
(画像=ペニシリンは細胞壁を作るために重要なタンパク質に結合して働きを奪う / Credit:wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、アオカビがペニシリンの生産能力を増強させ、より優れた殺菌力を獲得した過程の一部が解明されました。

アオカビはイギリスからアメリカに輸出され大量生産されるようになる過程で、ペニシリンの生産にかかわる遺伝子を変化させていたのです。

さらに追加の詳細な実験により、ペニシリンの設計図そのものとなる中核的な遺伝子にもわずかな変異があったと判明しています。

このペニシリン本体の設計図の変異は、イギリスとアメリカという異なる環境に住む細菌に対して、ペニシリンそのものを変化させた抜本的な改革を行った証だと考えられています。

このかつてアオカビが行った抜本的な改革の過程は、現在人類を脅かしているスーパーバグとの戦いにとって大きな参考になるかもしれません。

もしこの試みが成功すれば、人類はスーパーバグの引き起こす災禍を、もう数十年、先に延ばすことができるかもしれませんね。


参考文献

sciencealert

sciencedaily

Scientific Reports


提供元・ナゾロジー

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