Robert Owen-Wahl/Pixabay

上場企業の決算情報の速報版「決算短信」。この提出義務を「年4回」から「年1回」に減らすことが検討されている。

理由は、

「長期的な視点で経営できなくなるから」 「決算業務が大変だから」

だそう。前者は賛否両論ある。後者は理解できる(決算は確かに大変だ)。

「来てくれたら分かる。経理に」 「365日 決算の仕事ばかりしている。そんなのありえない」 (テレビ東京 ワールドビジネスサテライト 12月1日放送より)

強い口調で話すのは、関西経済連合会会長 松本正義氏だ。住友電気工業株式会社代表取締役会長でもあられる。会長自らが、これほど経理部門を心配してくださる。こんな経営者だったら、どれだけ幸せだったことか。かつて経理部門で決算業務に追われていた身からすると、心からそう思う。

でも違うのだ。「毎日決算」こそ経理の仕事なのだ。なぜか? 経営者が、それを求めるからだ。リアルタイムに状況を把握したい。問題にすぐ対処したい。できれば毎日でも最新の決算書が見たい。そういう思いが経営者にはある。

自分は頻繁に見たい。しかし、投資家に見せる頻度は減らしたい。出資してくださる投資家に対し、この対応はいかがなものか。

企業が開示する情報は「減らす」のではなく、むしろ「増やす」べきだと思う。

「ビギナー(初心者)」投資家が増える可能性が高いからだ。