成功したレグラギ監督の賭け
後半6分に、ポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督がクリスティアーノ・ロナウドを投入。モロッコ代表はポルトガル代表の徹底したサイド攻撃や、ロナウドを目掛けたクロスに苦しめられたが、ワリド・レグラギ監督の巧みな采配により息を吹き返した。
同監督は後半20分にDFバドル・べヌンとFWワリド・シェディラを投入し、布陣を[5-4-1]に変更。4バックでは空きやすいハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)と、センターバックとサイドのDFの間を埋め、ポルトガル代表のサイド攻撃の威力を半減させた。
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ロナウドが侵入を試みたゴール前のスペースも、アクラフ・ダリ、べヌン、エルヤミクの3センターバックが懸命に埋めたことで、モロッコ代表は逃げ切りに成功。守備の要サイスが後半12分に負傷交代というアクシデントに見舞われながらも、指揮官の素早いテコ入れにも助けられ、この難局を乗り越えている。今大会5試合で僅か1失点。クロアチア、ベルギー、スペイン相手にも無失点と、堅固な守備を誇るアトラスのライオン(モロッコ代表の愛称)がW杯制覇を成し遂げる。そんな奇跡をも予感させる一戦だった。