PBが経営統合の決め手となる

マツキヨココカラ「matsukiyo」はただのPBじゃない!込められた重大な「戦略」とは
(画像=海外店舗イメージ,『DCSオンライン』より 引用)

 リブランディング前、2015年3月期のPBの売上比率は9%に届かなかった。それが2021年3月期には12.1%にまで上昇した。この間に全体の売上高も増加しており、PB売上の量的な拡大は相当なものがある。

 しかし、PBのリブランディングがもたらしたものは、直接的な売上の拡大だけではない。

 2021年10月、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合し、持ち株会社マツキヨココカラ & カンパニーが誕生した。この経営統合の決め手となった要因のひとつが、マツモトキヨシHDのPBだったと言われている。

 経営統合当日の記者会見の席上で、当時のココカラファイン社長、塚本厚志氏(現、マツキヨココカラ & カンパニー代表取締役副社長)は「マツモトキヨシHDの商品開発力に魅力を感じた」と語っている。PBの相互供給は、経営統合の1年ほど前から進められてきたが、その背景には、こうしたココカラファイン側の強い思いがあったということだろう。

 2022年11月、PBの相互供給開始から2年あまりが経過した。ココカラファイングループのPB比率は、マツモトキヨシグループの数値に近づいてきており、PB開発プロジェクトのメンバーにも、同社の店舗スタッフが名を連ねるようになっている。顧客接点数も、自社アプリ、LINE、カード会員などグループ合計で1億2000万(重複分も含める)を超える規模になった。

 さらに「美と健康の分野でアジアNo.1」の企業グループを目指す同社のPB開発の目は海外にも広がっている。タイ、ベトナム、台湾、香港で店舗を展開する海外では、現在、PBは日本からの輸出品が中心だが、今後は、日本国内でのやり方を踏襲し、現地での開発も検討していくという。

提供元・DCSオンライン

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