ロレックスのデュフュージョンブランドに位置付けられるチューダーは、2010年代以降、“独自のデザイン性を備えたヘリテージモデルの復刻”という方向性にシフトし、成功を収めている。
その人気の核となっているコレクションが、特徴的なスノーフレーク針(通称イカ針)を備えたダイバーズウオッチの“ブラックベイ”だ。22年4月には、このブラックベイにGMT機能を備えた派生モデル“プロ”が登場。これが往年のロレックス、エクスプローラーIIを彷彿とさせる意匠となっていて大きな注目を集めた。実際、当初から人気は非常に高かったようで、ブティックでは売り切れが続いているという。

既存のGMTモデルよりも小型化したことで、手首への納まりは良くなったが、200m防水を実現しているために、厚みは従来と同じ15mmとそこそこある。
■Ref.M79470-0001。SS(39mm径)。200m防水。自動巻き(Cal.MT5652)。国内参考定価48万6200円
実機を見た率直な感想を言うと、“2022年モデルのマイベスト”と思えるほどに出来が良い。デザイン面はもちろん、約70時間パワーリザーブ、COSCクロノメーター認定など、性能的にも申し分ない。なかでも個人的に特に良かったと感じたポイントは、既存のGMTモデルより2mmサイズダウンした39mmケースを採用した点である。装着感の向上に加えて、幅の狭いベゼルともあいまって精悍さが際立っている。加えてベゼルの24時間目盛りの数字に細身の書体を採用した点も見逃せない。この書体が本作のレトロ感をグッと高めているのだ。

特徴のひとつが、一般的なルミノバ夜光とは異なる、モノブロックの発光セラミック製アプライドインデックスを採用している点。夜光自体でインデックスを成形しているため、メタルフレームがなく、アンティーク時計を思わせる雰囲気になっている
デザイン、機能、そして戦略的な価格と三拍子揃ったモデルで、発売早々売り切れ続出というのも納得できるが、一方でその人気ゆえに正規店での入手が難しいというのは悩ましいところだろう。そのため、ある程度量産されているはずのこの価格帯のモデルでは珍しく、現在でも2次流通で定価より20万円近くも割高なプレミアム価格となっており、まさしくブラックベイ プロの人気ぶりを証明している。
ちなみにチューダーはブラックベイ プロに続いて、レンジャー、ペラゴス 39と相次いで39mmサイズの新作を投入してきた。これらの評判も上々であるため、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。
文◎堀内大輔(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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