価格改定の影響を最小化するために
コロナ禍での売上はどのように推移したのか。
日清製粉ウェルナによると「巣ごもり生活により、おうち時間で子どもとホットケーキやスポンジケーキ、パン作りにも需要があり、粉全般が好調に推移したが、お好み焼きのミックス粉が特に顕著だった」という。同社の「お好み焼粉」は出荷量ベースでコロナ禍前の2019年と比べて2020年は110~115%で推移し、2021年は前年割れしたものの2019年と比べるとプラスで推移した。
一方、業務用の製品は外食産業全般が落ち込んだ影響で2020年は低調だったが、家庭での消費が伸びたことで「トータルではプラスだった」という。
2022年(4-7月期)は4月の価格改定の影響で前年割れ。この状況を打開するべく新商品を発売し活性化を図っている。
価格改定が家庭でのお好み焼きづくりにどのような影響を与えたのか詳細はつかめないが、同社の分析では「例えば、お好み焼き粉を使っていた人が薄力粉にシフトしたといった動きは確認できないが、豚ロースを使っていたところを豚こま切れに変えた、キャベツの量を減らしモヤシを加えたなどといった具材の節約がみられる」という。

節約マインドの消費者にも訴求するお好み焼きの存在感
100周年を迎えるオタフクソースは多様なニーズに品揃えで細かく応えるとともにECの強化で実店舗を介さずとも消費者に届けるルートを強化する。ミックス粉の日清製粉ウェルナは内容量のバリエーションを見直すことで値ごろ感を保ち、家庭での粉もの消費の持続を図る。三島食品は青のり養殖施設の本格稼働で原材料の安定調達を実現し、ブランド力を向上させている。
消費者である国民の名目賃金が上がっても、物価の上昇速度が速く実質賃金が下がる中、調理が簡単で材料費も節約できるお好み焼きは、まだまだ訴求できる献立として存在感を示している。
ソース、青のりミックス粉のメーカー3者3様の戦略を立てる中、節約マインドの消費者に対し、お好み焼きの値ごろ感や楽しみ方がしっかり浸透すると、ブームは再燃するのかもしれない。
提供元・DCSオンライン
【関連記事】
・「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
・ユニクロがデジタル人材に最大年収10億円を払う理由と時代遅れのKPIが余剰在庫を量産する事実
・1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは
・全85アカウントでスタッフが顧客と「1対1」でつながる 三越伊勢丹のSNS活用戦略とは
・キーワードは“背徳感” ベーカリー部門でもヒットの予感「ルーサーバーガー」と「マヌルパン」