膨大な廃棄物の山ができる
業界は何年も前から「100%リサイクル可能な工場を建設する」と言い続けてきた。しかし、太陽光や風力発電設備のリサイクル・プラントは実現されていない。
両設備とも、製造時に消費したエネルギーより多くのエネルギーを生み出すことはできるが、設備の寿命が来れば、残るのは、リサイクルできない巨大なゴミの山である。
我が国の太陽光パネルの廃棄物・リサイクル問題太陽光パネルは、25~30年で劣化し廃棄される。2012年導入された固定価格買取制度(FIT)が2032年には20年の期限を迎え、廃棄パネルが急増するといわれている。環境省リサイクル推進室の推計によれば、2015年の2,351トンから2040年は80万トンになるという。
太陽光パネルは鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質を含んでいるため、産業廃棄物として処理される。また、太陽光パネルのリサイクル事業も始まっており、架台のスチールやレールのアルミ、パネルに使用されているガラスなどは再利用されている。その他の多くは「埋め立て廃棄」であり、今後埋め立て処分場の残余容量は不足し、廃棄パネル問題が深刻化するのは必至である。
政府の補助金(原資:再エネ賦課金など)を所与のものとして運営される再生可能エネルギーの横展開、「金の切れ目が縁の切れ目」で、廃棄パネルが山積みされるという事態に陥らないよう、設置義務化という拙速な事業の見直しを含め、将来のリスクを見通した十分な検討が必要である。