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資源のない日本という国で成長を支える原動力は人間しかないのだと信じて、大学を卒業して45年間生きてきた。今も、医療現場は、多くの医師・看護師・技師・薬剤師などの犠牲的精神で成り立っている。

一部のチャラチャラした拝金主義の医師がテレビのコマーシャルに出てくるとムカッとして、すぐにチャンネルを変えてしまう。そして、研究現場は、英国の状況と変わらないが、日本人は温厚でストライキなどしない。しかし、毎年、交付金が減らされ、定員が削減され、大学や研究機関は四苦八苦だ。

イノベーションが大切と言いながら、研究機関や医療機関を真綿で締め続ける間抜けな政府は、救いようがない漫画の世界だ。イノベーションの根源がどこにあるのか、全く理解していない。現場を知らない人たちが鉛筆をなめながら予算を決めていくから、日本はダメになるのだ。利権の甘い汁を吸うと甘さが忘れられずに、それらを守ろうとする人たちの害毒が日本を腐食させている。今も連日報道されているオリンピックの後味の悪さは、まさにその象徴だ。

医療現場で、必死で患者さんに向き合っている人たち、治せない病気を治したいと頑張っている人たちが報われる社会であってほしいと願うばかりだ。今の日本には水戸黄門はいないのか?

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2022年12月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。