「2人だけで意思決定」がスピード経営を生む

それにしても、あらためて驚かされるのは、水甚のあまりにもスピーディな経営判断だ。エディー・バウアーのみならず、2020年の「アーノルド・パーマー」のライセンス権交渉も「レナウンが経営破綻を発表したその日に電話した」という。
新たなブランドの取得に乗り出すかどうかの意思決定は、基本的に中村社長と、中村取締役のみで行う。「2人で『どうする?』と言いながらその場で決めています。だから早いんですよ」と中村社長は笑う。
今も創業の地・岐阜に本社機能を構え、商品の企画・デザインも岐阜にスタッフを揃える。また、配送センターも自社で運営する。MDから物流まで内製化し一気通貫で行うSPA体制が、同社のブランドビジネスを支えている。岐阜のほかに中国、ミャンマーにも生産拠点を置き、今年10月からは新たにベトナムの合弁工場が稼働した。
「2023年の8月末までには、国内主要都市に5店舗の直営店をオープンさせたい」と意気込む中村社長。その技術力とリブランディング戦略で「新生・エディー・バウアー」は来夏、どんな姿を私たちに見せてくれるだろうか。
「この間、映画『ドント・ルック・アップ』を観ていたら、主演のレオナルド・ディカプリオがエディー・バウアーのジャケットを着ていた。それだけ、本国での人気はまだ根強い。その本来のブランド力を活かせれば必ずいい商品をお届けできる」(中村社長)
提供元・DCSオンライン
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