先日、茨城県で「食べるために特定外来生物の魚を釣る」という趣旨のユニークな釣り大会が開催されました。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
霞ヶ浦で「特定外来生物」の釣り大会
茨城県にある日本第2の面積を誇る湖・霞ヶ浦。ここで先月中旬、ちょっと変わった釣り大会が実施され、SNSで話題となりました。
この釣り大会の対象魚は「アメリカナマズ」。特定外来生物に指定され、駆除も行われている魚です。この大会では釣りあげたもののうち最長2本の全長合計で順位がつけられましたが、優勝者は2匹合計136㎝を記録。霞ヶ浦におけるアメリカナマズの勢力の強さを実感する結果となりました。
昨年に続き2度目の開催となる今回は、多くの参加者が大漁に恵まれ、総勢120匹以上のアメリカナマズが捕獲されたそうです。
アメリカナマズとはどんな魚か?
アメリカナマズは、その名からもわかるようにアメリカから移入された外来生物です。ブルーギルなどと同様に食用として有望視され、霞ケ浦周辺で養殖がおこなわれたのですが、一部個体が自然環境課に逃げ出し(人為的に放流されたという説も)霞ヶ浦を含む利根川流域に定着しました。
彼らは魚や甲殻類、貝類、昆虫類、さらには陸上植物や藻類にいたるまであらゆる生き物を捕食する貪欲さを持ち、環境に大きな負荷を与えます。さらに最大で1m近くなるという大きさから天敵もおらず、あっという間に各地の生態系の頂点に君臨。全国各地に侵入し、在来生物に大きな被害をもたらしていることから、2005年に特定外来生物に指定され、無許可での飼育や移動、放流が禁止されています。
なぜアメリカナマズの釣り大会を?
今回の大会がユニークなのは「持って帰って食べるためにキープする」ことが前提となっているという点。霞ヶ浦におけるアメリカナマズによる環境への負荷と、その食味の良さ・利用性の高さを広く伝えるために実施されている大会なのです。
アメリカナマズは食用に移入されただけあって味はよく、アナゴのように脂ののったふわふわした身が魅力的です。
今回釣り上げられたアメリカナマズはほぼ全量が持ち帰られ、参加者たちは作った料理や味の感想をSNSなどでシェアしました。また大会後には、アメリカナマズを使ったラーメンの試食会も実施され、多くの参加者が舌鼓を打ちました。
大会の主催者はこの大会について「侵略的な外来生物を食用などの形で利用することについては反対意見もあるが、すでに定着しきっているものを利用し採取圧をかけていくことや、その輪を広げることで『誰でも駆除活動に参加できるようにする』ことは大事なのではないか」とその意義を語っています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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