結果的に前線と守備ラインの間、いわゆる中盤にボールを持てるスペースが沢山発生してしまいました。日本代表の攻撃陣がボールを失った後ろにはコスタリカ代表がボールを持てるスペースが無数にあったのです。実際、失点もこのようなスペースが起点になっていました。

日本で言えば全員が司令塔!?中盤にスペースを与えてくれないスペイン代表

一方でスペイン代表はコスタリカ戦の日本代表のようなスペースは与えてくれないでしょう。いうならば、ディフェンダーも含めてすべての選手が攻撃のセンスに溢れ、全員で同じ意識で同じ攻撃の「Picture」、日本で言うところの「共通Vision」が描けるのです。

すべての選手がポジショニングに長けていますし、プレスを交わす技術(代表的な技術がどちからにゴールを動かすふりをして止めるキャンセルです)にも長けています。ショートパスも恐ろしくうまいです。極端なことを言えば、全員が往年の小野伸二のような恐ろしく器用な選手で、相互の役割分担も、状況に応じた役割のチェンジもできるようなチーム…と思ってください。

このようなチームですから、ボールをロストするリスクは非常に少ないです。となると、敵の攻撃を恐れずに、敵に守備をするスペースすら与えないほどに前に出てきて小気味よいパスワークでプレスに来た相手選手をいなすことができます。

怖さを弱さに変えるのが戦術なり!

これがスペイン代表の怖さでもあり同時に弱点でもあるのです。日本代表の守備陣がパスワークでスルスルとかわされてゴールを沈められるリスクは本当に怖いですが、スペイン代表の守備ラインの後ろには大きなスペースが空くことが多いのです。

今回の森保ジャパンはスピードスター系の選手が揃っています。大きなスペースはスピードスター系の選手にとっては独壇場と言ってもいい舞台です。

実際、スペイン代表のルイス・エンリケ監督も日本のスピードを警戒するコメントを発しています。実際、スペインサッカーは「早い」「強い」といったフィジカルモンスターよりもポジショニングや技術のクオリティが高い選手が活躍する傾向があります。

その結果、まるで全員がゲームメイカーとでも言えるような質の高いサッカーを展開できるのですが、逆にそこに弱点も見いだせるのです。

加えて、遠藤航の出場が危ぶまれていることで、鎌田大地がボランチに入る可能性も示唆されています。鎌田大地はドイツ・ブンデスリーガのディエル王・遠藤航のようなプレーはできませんが、今季は遠藤渡と近いポジションで同じブンデスリーガで何度もベストイレブンに選ばれる活躍を見せていました。マイボールになった際の視野の広さやゲームメイクにおいては、また遠藤航とは別の次元でスペイン代表と渡り合ってくれることでしょう。

問題は、日本代表の守備陣がボール前をガチガチに固めてもペドリのようなスペースを作り出す天才を擁するスペイン代表を無失点に押さえられるかどうか…。

ペドリらのスペースづくりのマジック(騙し)にのせられずにスペイン代表を無失点に抑えることが重要です。こういう戦い方に慣れた選手をうまく起用してもらえたら勝機が見えてくることでしょう。

さあ、日本代表の勝負はこれからです。ぜひ日本中から魂のこもった応援を届けてあげてください!!

 

杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授) 大人の杉山ゼミナール、オンラインサロン「心理マネジメントLab:幸せになれる心の使い方」はでメンバーを募集中です。心理学で世の中の深層を理解したい方、もっと幸せになりたい方、誰かを幸せにしたい方、心理に関わるお仕事をなさる方(公認心理師、キャリアコンサルタント、医師、など)が集って、脳と心、そしてより良い生き方、働き方について語り合っています。