遅攻の質も高かったカナリア軍団
この日のブラジル代表はハイプレスからの速攻のみならず、遅攻でもスイス代表を苦しめる。
同12分30秒すぎには、ミリトンからのパスを受けたカゼミーロがジャカとフロイラーを引きつけ、僅かに開いたスイス代表のDFニコ・エルベディと左サイドバックのロドリゲスの間にパスを供給。ここに立っていたフレッジからリシャルリソンにテンポ良くパスが繋がり、ブラジル代表がチャンスを迎えている。
同18分20秒すぎにも、センターバックのチアゴ・シウバがフロイラーとファビアン・リーダーの間が開いていることに気づき、ここに縦パスを通す。ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に立っていたパケタがボールを捌き、ここからブラジル代表のサイド攻撃が始まった。直後にパケタが惜しいクロスをゴール前に送っている。
スイス代表は前半の途中から自陣に撤退し、ブラジル代表にボールを持たせたものの、センターバックとサイドバックの間、及びサイドハーフとボランチの間が開く場面が散見され、ここをブラジル代表に狙われる展開に。失点シーンでも、タッチライン際でボールを保持したビニシウスにスイス代表の複数の選手が引きつけられ、これによりカゼミーロのハーフスペースへの侵入を許している。1得点に留まったものの、ブラジル代表がネイマール抜きでも質の高い遅攻や、組織的なハイプレスからの速攻で試合の主導権を握れることを証明した一戦だった。