<代替製品・サービスの脅威> ある企業が販売している商品について、代替品がある、又は登場しうる可能性がある場合、その企業の利益率は下がる傾向にあります。代替品とは技術革新により、生まれるまったく別の製品やサービスが出てくる(?)こともあります。

例えば、デジタルカメラにとっては、異なるジャンルであるスマートフォンの登場がまさにその代替品に当たるでしょう。地上波を放映している企業からすれば、YouTubeなどのインターネットサービスがそれに該当するといえます。インターネット広告の売り上げがマス4広告(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の売り上げを超えたというニュースも2021年度にはありました。

<新規参入の脅威> 新規参入者が入ってくることは、競争が激化することを意味します。価格競争も激しくなりますし、顧客獲得に割くリソースも増やさないといけません。結果、企業の利益を減らすリスクになります。

開業に資格要件が必要だったりして、かつその資格の取得難易度が高い場合や、初期投資にさほどお金がかからない場合などは、新規参入者の脅威は比較的低くなります。居酒屋は取得困難な資格要件は不要なので、新規参入者の脅威は強いといえます。

中小企業庁の統計によれば、宿泊、飲食サービスについては、開業率も高いですが廃業率も高く、入れ替わりの激しい業界ということができます。

このファイブフォース分析を、病院、薬局、製薬企業に当てはめてみるとどうなるでしょうか。結論から言うと、政策に守られてきた医療業界にも技術革新、それに伴う政策の大幅な変更が起こることが見てとれます。

医療業界は規制による影響を他の産業よりも強く受けます。医療に関わる皆さんは、今回お示しする業界構造と政府の動きを踏まえ、今後の政策の方向性が正しいかどうか、政府の方針から抜け落ちている論点があるかどうかを検討し、今後とるべきアクションについて再確認することが必要です。

(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)

luza studios/iStock

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[千正康裕]の官邸は今日も間違える(新潮新書)

編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2022年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。