全額が自己負担になるわけではありません。インフルと同じ扱いだとすると、検査や治療は3割負担、ワクチン接種は全額負担になります。

Q. ワクチンが全額負担だと、高くて打たない人が出てくるんじゃないですか?

コロナワクチンの原価は約4000円といわれているので、インフルのように全額負担にすると、接種が少なくなって感染が広がるかもしれません。どっちも同じぐらいの風邪なので、普通の保険診療と同じ3割負担にしてはどうでしょうか。

Q. 5類にすると、感染状況がわからなくなるのではありませんか?

2類以上は全数報告で、検査して陽性だった人を全員、入院させるのが原則です。でも実際には、オミクロン株の陽性は多すぎるので、全部報告すると発熱外来が混雑し、救急車が間に合わないケースが増えます。病院の現場では、実質的に5類相当の扱いにしています。

Q. では建て前は2類のまま、運用を5類と同じにすればいいのではありませんか?

最大の違いは費用負担です。上の表のように、今のままだと検査も治療もタダ(全額公費負担)なので、ちょっと熱が出たら発熱外来に行く人が多く、救急車も混雑します。引き取り手のないお年寄りが、ずっとベッドを占拠するケースも増えています。

Q. いつまでも2類以上の扱いになっているのはなぜですか?

コロナには莫大な補助金が出ているからです。会計検査院の調べによると、2020~21年度に使われたコロナ関連の補助金は94.5兆円。特に病床確保料は2兆円にのぼり、患者のいない「幽霊病床」が問題になっています。

これは病院にとってはすごい臨時収入で、補助金を当てにしてベッドを増やした病院も多い。5類に格下げされると、その設備投資がむだになるので、日本医師会は格下げに反対しています。

Q. 冬になってコロナ感染者が増えると混乱するんじゃないでしょうか?

分科会の尾身会長は、8月の第7波のとき「感染者が多すぎて対応できないので、5類に落とすことも検討すべきだ」といっていましたが、第7波が終わると何もせず、今月になって第8波が始まったら「今は格下げを検討するときではない」といっています。

感染が増えたら「格下げしよう」と騒ぐが、のどもと過ぎれば熱さを忘れ、また感染が増えると「今はその時期ではない」という繰り返し。この調子では永久に騒ぎが続き、膨大な税金が無駄づかいされるでしょう。