このような表現は適切ではないが、オーストリアで28日、鉄道労働者が久しぶりに24時間ストライキを行った。通勤する人や学生たちは鉄道がストのために出勤が遅れたり、他の交通機関に乗り換えたりするなど、朝から対応に追われた。

24時間警告ストライキ中のウィーン中央駅風景(2022年11月28日、オーストリア国営放送公式サイトから)

鉄道労組は高騰するインフレ率(10月は約11%)に見合う賃上げを要求、連邦鉄道(OBB)側は「労組の要求は余りにも非現実的だ」と一蹴、双方の交渉は時間切れとなって、労組はスト入りを決めたわけだ。

鉄道のストに対し、国民からは「出勤で困るが、労働者の要求は分かる」という声が多い。エネルギー危機、物価の高騰でどの世帯も年末を控え、家計のやりくりで苦しんでいる。鉄道労働者のスト入りに対し国民はおおむね理解を示している。

ところで、中国政府の「ゼロコロナ政策」に抗議するデモが行われているというニュースが入ってきた。厳しいコロナ規制下にある中国の国民は北京や上海など都市部で「ゼロコロナ」政策を批判し、「習近平(国家主席)打倒」といった声すら聞こえてくるという。中国で政府を批判すれば即拘束されるなか、多くの国民は治安当局の取り締りを恐れず路上に出て抗議デモをする、ということは通常ではない。それだけ、多くの中国国民が我慢ができなくなってきているということだ。コロナ感染が始まってすでに3年目に入っているにもかかわらず、中国で依然、厳しいコロナ規制、ロックダウン(都市閉鎖)が実施されている。デモ参加者は「PCR検査はもうたくさんだ。われわれに自由を与えよ」と訴えている。

このコラム欄で、なぜ中国共産党政権は経済発展のブレーキとなるロックダウンなどを実施、「ゼロコロナ」政策に拘るのかについて書いたが、第20回中国共産党大会で3期目の任期を獲得した習近平主席はゼロコロナ政策の緩和に乗り出す姿勢は見せていない。

「ゼロコロナ」政策は単に感染症対策というより、政治的な思惑とともに、新型コロナウイルスの発生問題で北京当局は何か隠ぺいしているのではないか、といった憶測すら沸いてくる。いずれにしても、中国のゼロコロナ政策はサプライチェーンを混乱させ、世界の経済発展にも大きな影響を与えている(「中国『ゼロコロナ』は何を意味するか」2022年10月16日参考)。