――シエカさんは何か質問がありますか?
シエカ 先生の仕事量がすごいので寝られているのか心配ですが、昼寝で補填していますか? 阿部 昔は昼寝が大嫌いだったんですが、今は、仕事効率のために昼寝も積極的に取るようにしています。
シエカ (以前の私がそうだったのですが)世の中にはショートスリーパーに憧れる人もいます。ですが遺伝的特性というお話があったようにみんなに当てはまるとは限らずリスクも大きいと感じるのですが、いかがでしょうか。
阿部 私もそう思います。ご自身の肉体の声を聞いてみたら自ずと分かるのではないでしょうか。たしかにショートスリーパーは起きている時間が長い分、時間を有効に使えているようにも思えますが、遺伝的要素を持ち合わせていない人が無理に睡眠を削っても作業効率が落ちるだけです。睡眠不足はさまざまな疾病・疾患リスクが上がり、死亡率も上ることはエビデンスによって明確に示されています。ちゃんと寝て、起きている間に元気いっぱい活動し、長生きしたほうが、やりたいことを人生を通じてしっかりと楽しめますよね。
シエカ 入眠の話がありましたが、途中で目が覚めてしまう方は、どんな原因がありますか?
阿部 分かりやすいのが、夜中トイレで目が覚めるとか、物音が気になって起きてしまうなどの外的要素がある場合です。対処法として、水分摂取のタイミングの調整、耳栓の装着、寝室を分けるなどの工夫をすれば改善できるはずです。眠り自体が浅く、中途覚醒してしまうということであれば、入眠前に呼吸法を1〜2セットやってみるとか、室温や明るさの調整など、自分の睡眠に合う環境づくりを試しながら探ることも大切かなと思います。
シエカ 睡眠の質、深さを高めていくことが大切ですね。
阿部 神経質になり過ぎないことも重要です。毎晩、質の高い睡眠が取れれば素晴らしいですが、たまに寝つきが悪い夜もどうしてもあるはず。人の調子が揺らぐのは至極当然のことなので、「今日はそういう日か」とどっかり受け止め、受け入れる余裕も欲しいところですね。1週間、1カ月を通じて総体的に質の高い睡眠が重ねられていればいいので、毎日100%の質を追い過ぎる必要はないのではないでしょうか。
シエカ 分かりました。先生のお話は分かりやすく勉強になります。ありがとうございました。