また、中国の動きは要注目ですが、日経に「中国が『脱ドル』か 名乗らぬ中銀、金の大量買い」と題した記事を入れています。22年の中央銀行による金(ゴールド)の購入量が既に1960年以来の規模に膨れ上がっているというのです。新興国の中銀がかなり金の保有高を増やしているのは分かっていますが、たまにしか保有量を公表しない中国が相当仕込んでいるのではないかとみられています。中国はアメリカ国債の保有量を徐々に減らしていますが、その代わりに無国籍通貨であるゴールドを増やすということです。これはロシアの苦悩をみてゴールドの一定量の所有は国家防衛に重要である、と判断した可能性はあります。
これは米ドルが弱含むバイアスに更に拍車をかけることになる点は頭に入れておいた方がいいでしょう。仮に23年度中に円ドルで120円台までゆっくり戻すシナリオを描けるなら日本全体でプラスになるので株価は中期的には上昇波動になると考えるのがナチュラルかと思います。くれぐれも中期であり、目先は景気後退の底が見えるまで上下に振れやすいとみています。
アメリカに投資した海外投資家もドルが高いうちにアメリカ株を売却し、他国の株式に乗り換えることで為替メリットを享受することができます。この潮流の変化を捉えることが重要です。
日本では今年の春から夏ごろでしたか、アメリカ株への投資を煽るメディアの記事が多かったと思いますが、あの時に投資をした方は高値つかみになっていた公算があったと思います。日本では個人向けの投資指南書が山のように売られていますが、投資はどんなに難しくても最終的に自分で分析しないとダメです。
私の投資判断は個別銘柄を調べたうえでチャート的に初動を捉えることに徹しています。コツンとくればそれが小波動か大波動かわかりませんが、そこですかさず動きます。そんなタイミングは極めて限られた期間なので書籍のような印刷物を待っていれば既に全くタイミングがずれているということです。日本の新興企業銘柄なら午前外せば午後は高値つかみなどしょっちゅう起きてしまうのです。
私は皆さんがそれで大事な元手をなくしてほしくないのです。正しい投資への理解が改めて求められるとも言えそうです。
では今日はこのぐらいで。

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編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月24日の記事より転載させていただきました。