キーワードは「プレスバック」
さて、どうやって猛スピードの大男たちを攻略すればよいのでしょうか?そのキーワードはズバリ、プレスバックです。プレスバックとは、前方にいる選手が後方にいる敵ボールホルダーに対して下がりながらプレスをかけることです。
矢印が複雑でわかりにくいのですが、図はアタッキングサード(ゴールに直結するプレーができるエリア)では「二人で囲み、三人めがプレスバックでボールを奪う」という守り方が描かれています。
なぜ、三人もかけてボールを奪うのか…。それは、どんなに優れた選手であっても、人はヒトだからです。人はどんなに鍛え上げてもヒトとしての生物学的な弱点は乗り越えられません。
人の視野角は200°、忍者のようなボール奪取を!!人の視野角は焦点が定まらない周辺視野も含めて、左右合わせて200°です。360°のうち、160°は絶対に見えないのです。一人でプレスに行っても押さえられるのはせいぜい100°以下です。スキルの高い選手であれば足元はほとんど見ずにボールを扱えますので、残りの260°のどこかにドリブルコース、パスコースを見つけられてしまいます。つまり、ボールを奪えません。
しかし、二人でプレスに行って囲めばほぼ200°の視野を押さえられます。そうなると、見えない160°にスキが生まれるわけです。
このスキを活かして、三人めが背後からボールを奪う…この守備戦術を徹底できれば、ドイツ代表の強烈なサイドアタックであっても攻略できることは間違いないでしょう。
特に小柄な日本人選手はさらに懐に飛び込みやすいのが強みです。長い脚を持て余すドイツ代表から忍者のようにボールを奪う場面を楽しみにしたいですね。
ただ、この守り方はドイツ代表が得意とする守り方でもあります。日本代表はアジリティと技術を生かして、ドイツ代表のプレスバックをかいくぐり、逆に自分たちのプレスバックで勝機を見いだせるか…。
さあ、日本国内では諦めモードのドイツ代表戦ですが、忙しいあなたも勝機を見いだせるポイントが見えてきたことでしょう。
せっかくのお祭りですから、ご一緒に日本代表の善戦を祈って応援いたしましょう!!
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杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授) 大人の杉山ゼミナール、オンラインサロン「心理マネジメントLab:幸せになれる心の使い方」はでメンバーを募集中です。心理学で世の中の深層を理解したい方、もっと幸せになりたい方、誰かを幸せにしたい方、心理に関わるお仕事をなさる方(公認心理師、キャリアコンサルタント、医師、など)が集って、脳と心、そしてより良い生き方、働き方について語り合っています。