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バヒド・ハリルホジッチ氏は、FIFAワールドカップ・ロシア大会直前に日本代表監督を解任。今年3月のインタビューで「スポンサー枠」でロシアW杯日本代表メンバーに選ばれた選手が存在することを明かして波紋を呼んでいた。そんなハリルホジッチはモロッコ代表監督解任の舞台裏やカタールW杯に対する思いを語っている。21日、クロアチアの日刊紙『Sportske novosti』が伝えた。
ハリルホジッチ氏は日本代表監督解任後の2019年8月にモロッコ代表監督に就任。4か国のグループステージ形式によるカタールW杯アフリカ2次予選を6戦全勝で突破すると、ホームアンドアウェイ方式の最終予選でコンゴ民主共和国代表相手に1勝1分。見事カタールW杯出場権を獲得していた。
しかし同氏はチーム内の規律を重んじるがゆえに、MFハキム・ツィエク(チェルシー)ら3選手を代表チームから追放。王立モロッコサッカー連盟(FRMF)から3選手との和解を要求されたがツィエクとの関係修復に至らず、今年8月に解任された。
モロッコ代表が23日にグループリーグ初戦のクロアチア戦を控える中、ハリルホジッチ氏は『Sportske novosti』のインタビューに対応。モロッコ代表のことに関して質問を受けると「モロッコとは一言も言いたくないし、“M”という一文字さえも口にしたくないね」とコメント。
「多くの国からカタールW杯のコメンテーターとしてのオファーが届いたんだけど、すべて拒否した。ワールドカップのことについて話したくないんだ」
「ワールドカップなんて一切見ない。もちろんクロアチア代表対モロッコ代表の試合も観ない。まったくもって論外だ。私にとって辛すぎる。モロッコ代表との別れでかなり不公平なことを経験したわけだし、すべてをそう簡単に忘れることはできないね」とFRMFに対する怒りをあらわにする。
そしてモロッコ代表監督解任の背景を問われると「もしかしたらモロッコ代表監督解任の原因が私にあるかもしれない。もしかしたら目の前に出されたいくつかの条件を受け入れることができたから、ワールドカップでモロッコ代表を指揮していたかもしれない。例えば(王立モロッコサッカー連盟の人間が)私の代わりに招集メンバーや起用法を決めるといったものだ」
「でも、私はそういったことを許す人間ではない。いつも自分の信念を持っている。かなりタフだし、決して諦めない。私が監督なら、誰を代表に呼ぶかは私が決める。それが監督としての基本的な仕事なんだ」
「それが私には無理だったし、せっかく努力してきて結果を残したにもかかわらず“階段から突き落とされた”んだ。若手主体のいいチームを作って、カタールW杯でサプライズを起こせると信じていたのに、残念だ」と、FRMFによるメンバー選考の全権掌握を告白。
「モロッコ代表と一緒に、2014年のブラジルW杯でアルジェリア代表が史上初のグループリーグ突破を果たし、決勝トーナメント1回戦に進出したときの成功を繰り返したいと思っていたんだ」
「それが一部の人たちの決断によって不可能になった。自分自身の思いが奪われたのだから誰も許せないし、決して忘れることもないね」と語った。
なおハリルホジッチ氏は今年3月にも『Sportske novosti』のインタビューに対応。日本代表監督解任の理由について「(代表監督の去就について)政治が決めることもあれば、ビジネスが決めることもある。その時、結果は重要ではない。例えば、日本ではビジネスが物事を決めたんだ」
「そこでは大物選手たちと契約しているスポンサーが、私が(彼らを)ワールドカップに連れて行かないかもしれないと聞いていたのだ。それにそのスポンサーは日本サッカー協会に出資していた」
「日本では、お金を出す人が物事を決めるんだ。だから、私が一部の選手を(ロシアW杯に)連れて行かないかもしれないという話を聞いて、私をクビにした」と語っていた。