5. 近江町市場の鮮魚店
北陸の新鮮な海の幸が集う近江町市場の鮮魚店。旬の魚を求め連日大にぎわいの店先では常に威勢のよい声が飛び交っています。
5.1 場内最大規模の鮮魚店「大口水産」

まず初めに足を運んだのが、新鮮な魚介類が並ぶ場内最大規模の鮮魚店「大口水産」です。
活気にあふれ、朝早くから「いらっしゃい!」と威勢のよい声があちらこちらから聞こえてきました。

鮮魚コーナーには「今日は大漁だったんだよ」と店員さんの言葉通り、加能ガニ(かのうがに ※ズワイガニの雄)を中心に数種類の蟹がところ狭しと並んでいました。
ちなみに、北陸の冬の名物といえるズワイガニは、資源保護の観点から毎年漁期は11月6日から3月20日頃までとなっているそうです。
加能ガニは日本海に水揚げされた地域ごとに呼び名が変わります。福井県では「越前ガニ」、山陰では「松葉ガニ」と呼ばれています。身がぎっしり詰まっていて濃厚で芳醇な甘みが特徴です。1杯3,800円とお値段もなかなかですが、それだけ価値のあるものだということです。
値段が手頃なのがズワイガニの雌となる「香箱ガニ(こうばこがに)」。加能ガニに比べ小ぶりですが、内子(わたと子)のコリコリ感、外子(卵)のプチプチ感という2つの食感を同時に味わえるため、観光客だけでなく地元の方々にも人気です。

蟹のほかにも上記写真ののど黒の干物など石川県ならではの加工品や冷凍もの、お土産にぴったりな「のど黒だし」といった調味料なども取り扱っています。
めずらしい食材が多く戸惑ってしまいそうですが、調理の仕方もお店の方が丁寧に説明してくださるので安心です。発送サービスもあり、大量に買い込んでいかれる方々もいらっしゃいました。

大口水産名物の「焼き焼きコーナー」で獲れたての海の幸をいただきました。

写真手前のつぶ貝(250円)と写真奥のエビ(300円)をオーダー。ほどよい塩分が効いた磯の香りが立つ天然の味に海の恵みをたっぷり感じました。

場内で一番大きく広々としたイートインスペースは居心地がよいです。
大口水産鮮魚部の基本情報
- 住所:石川県金沢市下近江町 上近江町38
- 営業時間:9:00~17:00(日曜日は9:30~16:00)
- 定休日:水曜日
- 電話番号:076-263-4545
5.2 「大松水産」で旬の味覚を堪能!

次に訪れたのは近江町市場で140年近く営業を続けている鮮魚店「大松水産」。こちらの老舗では、加能ガニ、香箱ガニ、甘えび、鯛、かれい、ぶり、といった高級魚から大衆魚まで、旬の魚を多く取りそろえています。
また、店頭では牡蠣やのど黒、刺身などの海の幸をその場でいただくことができます。

能登や富山沖で獲れる生でも食べられるほど新鮮な牡蠣(660円)を、「焼き」でいただきます。
人肌ほどに加熱された牡蠣は肉厚で食べ応え十分! レモン、海水のミネラル、塩分だけでさっぱりといただくのが近江町流です。
独特の臭みもなく牡蠣が苦手な人でもおいしくいただけます。
ちなみに石川県は「セリが始まる時間が早い県」として知られています。暖流の対馬海流と寒流のリマン海流がぶつかる日本海は、暖水性と寒水性の両方の生物が集まる豊かな漁場です。
そんな良い漁場で上がった魚をいち早く届ける為、セリの開始時間も早くなったそうです。海から獲ったばかりといっても過言ではない、新鮮な魚と出会えるのも近江町市場の魅力です。
大松水産業務部・近江町旬彩焼の基本情報
- 住所:石川県金沢市上近江町33
- 営業時間:9:00~15:00
- 定休日:水曜日
- 電話番号:076-232-2758
5.3 近江町市場の老舗鮮魚店「川木商店」

「近江町いちば館」の1階にある「川木商店」はお中元やお歳暮にもピッタリな、のど黒の一夜干しをはじめ、新鮮な魚介類を取りそろえている近江町市場の中でも人気の鮮魚店のひとつ。
茹でた蟹をはじめ、炭火で焼いた鰻やどじょうの蒲焼きなど店内で調理した商品も販売していて、通りを漂う香りが食欲をそそります。

新鮮な牡蠣やウニが店頭でいただけるとのことで、生ウニ(800円)を注文しました。
ウニ本来の自然な甘さを残しつつも濃厚でクリーミーな味わい。臭みもまったくなく、つるんと食べられます。
少しだけしょう油を垂らして食べると味がぎゅっと締まってさらにおいしいですよ。

金沢駅からのバスが通る、近江町市場の玄関口「エムザ口」から近いということもあって、多くの観光客が足を止めていました。
川木商店の基本情報
- 住所:石川県金沢市青草町88番地 近江町いちば館1F
- 営業時間:【カニ】8:30~16:00、【ウナギ】9:00~16:00
- 定休日:お盆、年始
- 電話番号:076-231-5982
6. 近江町市場の青果店
石川県の伝統野菜といえば加賀野菜に能登野菜。金沢市民のみならず料理のプロも御用達の近江町市場・青果通りは朝から活気に満ちあふれています。
6.1 「北川食品」で加賀野菜を知る

鮮魚店に負けず劣らず旬のものがそろう色とりどりの野菜たち。
近江町市場には青果通りと呼ばれる路地があり、多くの青果店が軒をつらね、早朝からにぎわいをみせています。
近江町いちば館1階にある「北川食品」は金沢の伝統野菜である加賀野菜を中心に販売する青果店です。
加賀野菜とは金沢独自の伝統野菜として認定された野菜です。加賀料理など郷土の味に欠かせないものが多く、現在15品目が登録されています。
海と山がある石川県特有の野菜は、地元の方やプロの料理人だけでなく観光客にも人気があり、連日多くの方が加賀野菜を求めてやってきます。

認定15品目の一つ加賀太きゅうりや...

加賀れんこんなど、ここでしかお目にかかれないめずらしい野菜がたくさん。対面販売でしっかりと接客をしてくださるので、料理方法などをレクチャーしていただきましょう。
この肉厚な加賀れんこんはデンプン質が多く、シャキシャキ感とモチモチ感のバランスがよいので、蒸してもよし、素揚げしてもよしとのことでした。
北川食品の基本情報
- 住所:石川県金沢市青草町88
- 営業時間:8:00~18:00
- 定休日:不定休
- 電話番号:076-264-1711
6.2 「北形青果」で出会った五郎島金時の魅力

約30店舗ほどある近江町市場の青果店の中で最大規模の店舗となる「北形青果」は、昭和5年創業の老舗青果店。加賀野菜をはじめ、16品目ある能登野菜など地場野菜を販売しています。

訪れたときは今が旬の巨大な松茸が存在感を示していました。

加賀伝統の野菜の一つ「五郎島金時」という、金沢市の五郎島・粟ヶ崎地区などで主に生産されているさつまいもも多く並んでいました。
お土産に買って家で食べてみたところ、しっとりとしてフルーツのように甘い最近のさつまいもとは違い、ホクホクとした食感と奥深い甘さが楽しめました。
北形青果の店長さんは野菜ソムリエの資格を持つ野菜のプロです。加賀野菜の扱い方なども、尋ねれば丁寧に教えてくれます。
北形青果・近江町本店の基本情報
- 住所:石川県金沢市青草町88
- 営業時間:8:00~18:00
- 定休日:日曜日、祝日
- 電話番号:076-221-4924