ラリック社とアメリカ人アーティストのジェームズ・タレル氏による限定アートピースが、10月に「Paris+ par Art Basel」(アート バーゼルによるParis+)において発表された。

「光の芸術家」によるフレグランスボトル2種類は世界100点限定、ライトパネルは世界42点限定となっている。

光と空間を探求するアート

ジェームズ・タレル氏は、1943年カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。1960年代に芸術家としてキャリアを開始した彼の作品は、主に光と空間を探求している。

彼の作品は、光の顕現を主題とすることによって、知覚が現実に如何に作用し何を形成するかという本質に挑戦している。ある部分では瞑想的であり一方では混乱を伴い、観る者の知覚を高め経験の領域に置く。

彼の作品は日本国内において、新潟県十日町市の「光の館」、金沢21世紀美術館、香川県直島の地中美術館を含む各地で常設展示されている。

アメリカ西部にインスパイアされた2つのボトル

タレル氏は、2つのフレグランスボトルをデザインすることからコラボレーションを開始。彼はエジプトとアジアに見られるストゥーパの形に魅了され、それらの建築構造と光が重要な役割を果たす精神性の高いモニュメントをインスピレーションとして用いた。

芸術と嗅覚のセンスを組み合わせた2つのフレグランスボトル「RANGE RIDER(レンジ ライダー)」と「PURPLE SAGE(パープル セージ)」は、西部劇「Riders of the Purple Sage(邦題:ユタの流れ者)」で描写されたアメリカ西部の美しさにインスパイアされている。

ボトルに出現した光を拡散し回折するプリズム。この光のデザインは、ラリック社の職人にとって大きな課題となり、ハンドメイドによって色彩の濃度と同一性を保持し、クリスタルの均一な厚みを得た。

アメリカを表現したフレグランス

このコラボレーションでは、タレル氏がラリック社の調香師と綿密に協力し、初めて手がけたフレグランスとなった。

最初のフレグランスである「レンジ ライダー」は、セージで傷を付けたレザーチャップス、ペッパー、アンバー、シトラスなど、彼のルーツであるアリゾナのナチュラルな香りを捉えている。

2番目のフレグランス「パープル セージ」は、アリゾナに咲く繊細な植物の女王にちなんで名付けられた。

柔らかな曲線を描くボトルは、フェミニンなフォルムとその普遍性へのオマージュ。精巧なフレグランスはフルーティー、ムスキーな香調を帯び、やがてパープル セージ、マンダリン、グレープフルーツ、ルバーブのノートが明らかになる。