目次
フリーランスのふるさと納税の流れをシミュレーションしてみた
フリーランスがふるさと納税で損をしないためのポイント/注意点
フリーランスのふるさと納税の流れをシミュレーションしてみた
ここまで、フリーランスのふるさと納税についてまとめてきました。
しかし、「細かい話が多すぎてよく分からない……」「結局、具体的にどうやったらいいの?」と思う方も多いかもしれません。
そこで、以下では架空のフリーランスであるAさんが、2022年にふるさと納税を行ったと仮定。実際の流れを再現する形で解説してみます。
【Aさんの基礎情報】
- 30歳、既婚で共働き(扶養者なし)
- 青色申告特別控除(65万円)の対象者
- 所得はすべて事業所得
- 社会保険料控除など、基礎控除以外の控除額を47万円と仮定
- 寡婦、障がい者などの特殊条件に該当しない
手順1. 現状の所得額を把握する
まず、ふるさと納税を行うタイミングで自分の総所得がいくらあるのかを確認しなければいけません。ここでは、Aさんが11月にふるさと納税を行った際、2022年1月~10月までの所得額が約250万円だったと仮定しましょう。
この場合、見込み所得の軸として「所得250万円」を使って計算を進めていくことになります。
手順2. 残りの月の見込み所得を出す
ふるさと納税の限度額を知るためには、未来の2022年11月~12月分を含めた年間の所得額を知る必要があります。すでに11月~12月の売上が固まっていれば話は別ですが、そうでない場合に残りの月の所得額を予測するためには、先に見た所得250万円を月割した所得額を使うことをおすすめします。
Aさんの例でいえば、250万円÷10ヶ月で25万円/月。つまり、11~12月の所得はおおよそ50万円(25万円×2ヶ月)と予測できます。
手順3. 見込み住民税額を出し、限度額を求める
上記で求めた11月~12月の見込み所得を、1~10月の確定した所得と足し、年末までの見込み所得額を求めます。
今回の場合は、250万円+50万円で300万円。300万円が所得と分かれば、ここから青色申告の特典である特別控除の65万円を差し引いた「235万円」が年末までの見込み所得となります。
ここから、ふるさと納税限度額の計算に欠かせない「住民税所得割額」を計算していきます。居住地を東京23区と仮定し、住民税所得割額を計算すると以下のようになります。
式:(所得金額-控除額)×税率(10%)-(調整控除+税額控除)
235万円-90万円×10%=14.5万円
※基礎控除43万円、他控除47万円と仮定
※調整・税額控除は少額なので0円と仮定
この14.5万円が「住民税所得割額」となります。そしてこの「住民税所得割額」を、以下の早見表にあてはめて計算することで、おおまかな限度額が算出できます。
課税所得金額 | 上限額 |
---|---|
~195万円 | 住民税所得割額×23.559%+2,000円 |
195万円~330万円 | 住民税所得割額×25.066%+2,000円 |
330万円~695万円 | 住民税所得割額×28.744%+2,000円 |
695万円~900万円 | 住民税所得割額×30.068%+2,000円 |
900万円~1800万円 | 住民税所得割額×35.520%+2,000円 |
1800万円~4000万円 | 住民税所得割額×40.683%+2,000円 |
4000万円~ | 住民税所得割額×45.398%+2,000円 |
Aさんの場合、145,000×23.559%+2000=約36,000円と算出されます。繰り返しになりますが、ここで出てきた「36,000円」という数字は、あくまでおおまかな目安の限度額です。11月~12月の業績次第で限度額は変動します。
あとはAさんがどれくらいギリギリを攻めてふるさと納税するか(=上限額オーバーのリスクを覚悟するか)次第ですが、このケースであれば25,000~30,000円くらいのふるさと納税で様子を見て、もし枠が余るようなら、追加で年末にふるさと納税するのがベストかなと思います。
手順4. ふるさと納税する自治体と返礼品を選ぶ
限度額を把握するまでが最大の難関なので、ここから先はボーナスタイム。各社が提供するふるさと納税のポータルサイトを見つつ、ふるさと納税する自治体と返礼品を選びましょう。文字通り地元の自治体に納税しても、返礼品が魅力的な自治体に納税しても大丈夫です。
余談ですが、筆者の場合は返礼品を重視し、趣味の旅行を活かして「魅力的だった旅先のグルメ」を返礼品としている自治体に寄付することが多いです。2021年に九州1周旅行をしたので、2021年は指宿のカツオ、2022年は博多の明太子を返礼品として貰いました。
手順5. 自治体から送付される受領証明書を確認する
ふるさと納税が無事に終わると、自治体から「ふるさと納税受領証明書」が送付されてきます。ここに書かれた金額がいわゆる「ふるさと納税額」になるので、実際に支払った金額と間違いがないか確認し、証明書は必ず保管しておくようにしましょう。
手順6. 確定申告書にふるさと納税額を反映させる
ふるさと納税額が確定したら、確定申告書の「寄付金控除」欄にふるさと納税額と、寄付先の自治体の情報などを反映させましょう。あとは確定申告書を送付すれば、ふるさと納税は完了です。
フリーランスがふるさと納税で損をしないためのポイント/注意点
フリーランスのふるさと納税は、注意すべきポイントがやや多いです。ここでは、改めてフリーランスがふるさと納税で損をしないためのポイントをまとめてみました。
ポイント1. 見込み住民税額の算出精度を上げる
フリーランスがふるさと納税で損をしないためには、住民税額の予測制度を上げることが重要です。未来予測なので100%になることはありませんが、以下のように工夫すると算出精度が向上します。
- こまめに収入と支出を記録する
- 自分の控除額をしっかり把握する
- クラウド会計ソフトの「損益レポート」機能を活用する
ポイント2. なるべく遅い時期にふるさと納税する
上とも重なりますが、ふるさと納税はギリギリまで待ってから納税するのが安全です。当然ながら年の瀬近づけば近づくほど、算出した上限額と実態が一致する可能性は上がるからです。
ただし、12月後半に差し掛かると、万が一トラブルなどが発生した際にふるさと納税が間に合わなくなったり、駆け込み需要の増加で返礼品の選択肢が限られたりするリスクもあるため、12月頭までには納税しておくのが無難です。
ポイント3. フリーランス向けのふるさと納税シミュレーターを活用する
先述したとおり、会社員向けに比べると数は少ないですが、フリーランス向けのふるさと納税シミュレーターも提供されています。自分で計算すると手間がかかるだけでなく、ミスをするリスクも高くなるので、素直にシミュレーターを活用することをおすすめします。
ただし、シミュレーターによって算定に使う計算式が異なる場合があり、同じ金額を入力しても結果がズレる可能性があります。その場合、自己負担を増やしたくなければ上限額が一番低いシミュレーション結果を活用すれば安全です。
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