ベンフィカ戦からの改善点は

先述のベンフィカ戦で、攻撃時は[3-5-2]、自陣への撤退守備の際は[4-4-2]と、2つの布陣を使い分けていたユベントス。今回のインテル戦では、フアン・クアドラードとコスティッチの両ウイングバックを最終ラインに組み込む[5-3-2]の布陣を主としてディフェンスを行っていたが、[3-5-1-1]から[4-4-1-1]への隊形変化も織り交ぜていた。

特に見られたのが、右からクアドラード、ダニーロ、グレイソン・ブレーメル、アレックス・サンドロで4バックを形成し、コスティッチが左サイドハーフと化す場面。インテルのインサイドハーフ、ニコロ・バレッラが右サイド(ユベントスの左サイド)に流れ、ウイングバックのデンゼル・ドゥンフリースとのコンビネーションを見せようとした際に、コスティッチとサンドロが大外のレーンを塞ぎ、2対2の数的同数を確保。神出鬼没なポジショニングで相手の守備組織をかき乱すバレッラを抑えるうえで、この隊形変化は一定の効果があった。

前半1分40秒すぎ、バレッラが右サイドに移ってシュクリニアルからのパスを受けようとすると同時に、サイドハーフと化していたコスティッチがチェイシング。25歳のイタリア代表MFの進撃を許さず、自陣後方に追いやった。

インテル MFニコロ・バレッラ 写真:Getty Images

この後も、バレッラが右サイドに流れてボールを受けようとする場面では4バックに変化する傾向が強く、前半2分20秒すぎにも、コスティッチとサンドロが左サイドで縦関係となり、大外のレーンを封鎖。後半22分すぎにも、同様の位置関係でコスティッチがバレッラの前に立ちはだかり、ドリブルを許さなかった。

ベンフィカ戦ではボールを失った瞬間の隊形変化が鈍く、陣形が整う前に最終ラインの背後へパスを通されてピンチを招いていたが、インテル戦でこの問題も生じず。4バックと4人の中盤による守備ブロックを適宜形成することで、[5-3-2]ではハーフスペースと大外のレーンの両方のカバーリングが求められるラビオとファジョーリの負担の軽減に成功。ユベントスの守備は、4失点を喫して敗れたベンフィカ戦から改善されていた。

日本時間10月16日のトリノ戦(セリエA第10節)では最前線、中盤、最終ラインの3列が間延びし、組織的な守備による良いボール奪取が少なかったものの、これ以降のリーグ戦4試合連続でクリーンシート(無失点試合)を達成。第13節終了時点で、今シーズンのリーグ戦における失点数が全20クラブ中最少の“7”という事実からも、ユベントスの守備の成熟が窺える。カタールW杯前のリーグ戦残り2試合、そして同大会以降も可変システムを駆使した守備で勝ち点を積み上げられるか。今後はこの点に注目したい。