アプローチの方向が重要?
ポンポンと荒井くんがアタリを出すなか、私は蚊帳の外。同じように攻めているつもりでも、アタリが出せない。だが、その理由がすぐにわかった。潮流に対しての仕掛けの立て方が荒井くんとは異なっていたのだ。また、海中でのハリスの漂い方も違っていたため、魚に対するアプローチの方向がズレていた。その角度を修正し、誘いに対して付けエサがダイレクトに動く方向に合わせると、アタリが出るようになった。
しっかりと誘いの動きで付けエサを魚に見せて、食わせの間も10秒前後とやや長めに。ハリ先を擦るような前アタリが出たら、仕掛けの重さを竿先へと乗せるように聞き上げていくと、首を振る強いアタリに。
このパターンで私が3尾釣った時点で、荒井くんはツ抜け。トーナメンターらしい隙のなさで数を伸ばしていた。
しかし、船を流し変えるとパターンも変わるのが、カワハギ釣りの面白いところ。次の流しでは、キャストも多様。オモリからの感触を頼りにツブ根を探し、居着いているカワハギを的確にキャッチしていった。
水深15~17mの流しでは、このパターンがハマってペースアップ。11時半の時点で私が10尾、荒井君が13尾。
当日最大の30.5cm浮上
クライマックスは、このあとに待っていた。潮変わりのタイミングで、水深25mのやや深場へ移動。荒井くんも「前回来たときも、ここのポイントはいい釣りができたんです」と楽しみな様子。
釣り始めこそ魚の活性もスローだったが、徐々に上げ潮の流れが入ってきた13時ごろから、潮先のミヨシ寄りを中心に本命が登場。
この好機に、荒井くんは得意の集器の釣りへとチェンジ。集器に潮を受けさせ、ゆっくりと仕掛けを寝かせる。その傾きを立てるように聞き上げるなかで出るアタリを、コンスタントに掛けていく。その釣りっぷりは、隣で見ていても圧巻のひと言。数はもちろんのこと、30.5cmの尺ハギまでキャッチし、まさしく独壇場だった。
船中トップ29尾で好調
途中、私も集器を装着して真似をしてみたものの、海中での仕掛けのイメージがつかめず、2尾追釣しただけ。後半は自分のスタイルに戻して5尾追加し、14時に沖上がり。船中釣果は15~30.5cm1~29尾。竿頭は荒井くんが断トツ。私は17尾で次頭だが、荒井くんに圧倒された一日であった。
下船後、糟谷船長に今後の展望を聞くと「魚の気配はどこでも感じられましたが、今日は追いが悪かったですね。水温が下がってくれば、もっと魚も固まってくるでしょうし、釣りやすくなると思います」と締めくくってくれた。
ひとりでは答えを導くのがなかなか難しい状況でも、釣りの思考が近い者同士であれば、情報共有をしながらその都度の答え合わせを的確に導くことのできた今回の釣行。好調な今シーズンの竹岡沖であれば、カワハギ釣りの引き出しを増やす意味でもスキルアップのチャンスだ。
<週刊つりニュース関東版 APC・田中義博/TSURINEWS編>
弁天屋
出船場所:瀬戸橋