守備で好プレーを見せたエルナンデス

2得点のジルー、後方からのロングパスを何度もチャンスに結びつけたレビッチ、レオン、クルニッチの活躍も然ることながら、エルナンデスの攻守両面における貢献も見過ごせない。

この試合でもキャプテンマークを腕に巻いた25歳のフランス人DFは、ザルツブルクが自陣後方からパスを回そうとするやいなや、左のハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に位置取り。相手の2ボランチの一角ニコラス・サイバルトを捕捉し続けた。

ミラン DFテオ・エルナンデス 写真:Getty Images

象徴的だったのが、ザルツブルクが自陣後方から攻撃を組み立てようとした前半7分すぎの場面。ここでもエルナンデスがサイバルトを、クルニッチがリュカ・グルナ・ドゥアトを捕まえたことで、センターバックのストラヒニャ・パブロビッチにロングボールを蹴らせることに成功。このボールをトモリが回収し、直後にミランが攻撃を仕掛けている。エルナンデスの好プレーが実を結んだシーンのひとつと言えるだろう。

ミランの先制点に繋がったコーナーキックは、エルナンデスがクルニッチとのパス交換で左サイドを突破し、ペナルティエリアに侵入したレオンにパスを送ったことでもたらされたもの。敵陣と自陣を行き来して何度も攻撃に絡み、守備のタスクも忠実にこなすフランス人DFは、今やミランに不可欠な存在となっている。


ミラン FWオリビエ・ジルー 写真:Getty Images

今季のミランは侮れない

多彩かつ変幻自在な攻守でザルツブルクを圧倒し、グループEを2位で突破してみせたミラン。(勝ち点:10)

同グループ首位通過のチェルシー(勝ち点:13)には連敗を喫したものの、本拠地サン・シーロでの第4節ではブラヒム・ディアス、ジルー、レオンの3トップが相手の3バックを、トナーリとクルニッチの2インサイドハーフが敵の2ボランチをマンツーマン守備で捕まえたうえで、[4-1-2-3]の布陣によるハイプレスを敢行。前半にトモリが退場処分を受けるまでは、一昨シーズンのチャンピオンズリーグ覇者と互角の勝負を演じ、決定機も作れていた。

ミラン ステファノ・ピオリ監督 写真提供: Gettyimages

2019年10月に赴任したステファノ・ピオリ監督のもとで、ミランは相手の出方に応じて自分たちの攻守を柔軟に変えられるチームへと成長。今シーズンもカウンターの破壊力が抜群で、セリエAではインテルやユベントスを沈めている。

2013/14シーズンより続いていた国内リーグでの不振から脱した“ロッソネロ(赤と黒)”が、今シーズンのチャンピオンズリーグで台風の目となるかもしれない。