(3)企業で取り組む一次産業の課題解決! ネスレの生産者を守る取り組み

そして、2020年までネスレ日本㈱代表取締役社長兼CEOを務められていた高岡さんからは、食品産業のいち企業としてネスレと一次産業との関わりについて紹介がありました。

まず、サステナビリティやSDGsの概念をつくったことにネスレは深く関与しており、企業が積極的に世界のサステナビリティに貢献していかなければならないと最初に切り出したのはネスレだったとのこと。

ネスレは、世界のコーヒー豆やチョコレートの原料となるカカオ豆を、最も多くの量購入している企業です。

その上で「買って消費するだけではなく、生産者の問題解決を積極的に関与していかなければならない」という考えのもと、取引のある生産者の生産量が十分な取れ高となるように、さらには、その生産者が裕福になるように協力しているとのこと。

実際に毎年700~800億円の金額をコーヒー豆とカカオ豆の農家支援にあてており、1haあたりの取れ高を増やすようにし、(自然災害で生産量が大きく減ってしまうなど)何かあったときはネスレに優先的に販売してもらえるような契約を締結することでサステナビリティを担保しているとのことでした。

高岡さんからは「生産から企業も考えていかないといけない」とありましたが、これはネスレや食品産業に限らず、その他産業・企業にとっても同様に解決すべきテーマでしょう。

【参考】
サステナビリティ | ネスレ日本 企業サイト | Nestlé : Good Food, Good Life

(4)セッションをおえて

日本の一次産業における課題を再認識したセッションでしたが、同時に北海道の農業事情とリモートセンシングの可能性やこれからの展望に期待を持てたセッションでもありました。

宙畑でも一次産業における衛星データの活用事例を多く紹介しています。少子高齢化の加速、食料自給率の低下、肥料の高騰……と課題は多くありますが、衛星データを含む様々な成功事例が今後もどんどんうまれ、解決にむかうよう情報の整理と拡散をしなけれならないと強く感じた1日となりました。

提供元・宙畑

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