屋根にも着陸できる新型ドローン

衝撃吸収レッグと逆回転ローターを備えた新型ドローン
Credit:Createk Engineering Lab(YouTube)_Fast Multirotor Landings on Steep Roofs using Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust(2022)

新しく開発されたドローンには着陸時の衝撃を吸収し、斜面でも転倒しないよう、いくつかのメカニズムが採用されています。

まずレッグの付け根の関節には小型のモーターが搭載されています。

ドローンが着地するとレッグが広がって衝撃を吸収しますが、その際、関節のモーターがレッグの広がり方をコントロールして、衝撃を徐々に逃がしてくれるのです。

機体をなるべく水平に保てるようレッグの関節が調整される
Credit:Createk Engineering Lab(YouTube)_Fast Multirotor Landings on Steep Roofs using Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust(2022)

また着地後の画像から分かる通り、斜面に対応して各レッグの角度が調整されます。

これにより、緩い傾斜面であれば機体が水平に保たれます。

ローターが逆回転し、バウンドや転倒を防ぐ
Credit:Createk Engineering Lab(YouTube)_Fast Multirotor Landings on Steep Roofs using Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust(2022)

さらに着陸時にはローターが逆回転し、着陸面に対して機体を押し付ける力が働くようになっています。

これにより、傾斜面での転倒・バウンドのリスクを低減できます。

それでも転倒しそうな場合には、片方のローターだけが逆回転して反転するのを防いでくれます。

緊急時には片方のローターだけが作動して反転を防ぐことも
Credit:Createk Engineering Lab(YouTube)_Fast Multirotor Landings on Steep Roofs using Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust(2022)

その結果、新しく開発されたドローンは、最大60度の傾斜面に、最大2.75m/sの速度で着陸できるようになりました。

このことは、ほとんどの建物の屋根にドローンが着陸できることを意味します。

最大60度の傾斜面など、さまざまな地形での着陸が可能
Credit:Createk Engineering Lab(YouTube)_Fast Multirotor Landings on Steep Roofs using Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust(2022)

求められる降下速度もシビアではないので、より多くの人がドローンを操作できるようになるでしょう。

まさに現代のドローンの需要にあった機能を獲得したのです。

しかし研究チームによると、この着陸方法は「屋根を損傷させる恐れがあるため、大きくて重いドローンには採用できないかもしれない」とのこと。

今後もチームは、「どこにでも着陸できるドローン」を目指して、新しい着陸方法を探していく予定です。

参考文献
Drone Lands on Astonishingly Steep Surfaces

元論文
Adaptative Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust for Fast Multirotor Landing on Inclined Surfaces