【カフェの特徴】
日本最多の国宝建造物数を誇り、日本の宗教・文化の歴史に多大な軸を形成してきた奈良。東北部に位置する「道の駅 針テラス」は、名阪国道と国道369号線が交差する立地にある日本最大規模の道の駅。そのアクセスの良さから周辺の産業・交通・文化の中心地として重要な役割を果たしている。
ここから南方にある吉野山は、古くより桜の名所として名高い。山全体を埋め尽くすかのように約3万本が群生し、総じて「吉野の桜」と呼ばれる。吉野山に桜が多いのは、桜が金剛蔵王権現の神木であるとされたことによるという。金剛蔵王権現は日本独自の山獄仏教である修験道の仏であり、奈良県吉野町の金峯山寺本堂(蔵王堂)の本尊として知られる。日本古来の芸術においても度々描写されるこの桜に魅了された一人として、戦国時代の武将 豊臣秀吉の逸話が残されている。文禄3年(1954年)、秀吉は名だたる武将や茶人、連歌師を引き連れ、総勢5千人でこの地に花見に訪れた。しかし雨天が続いたことから、吉野山の僧たちが晴天祈願をしたところ、翌日には前日までの雨が嘘のように晴れ上がり、豪華な花見が盛大に行われたという。
景観にすら、歴史と文化、神秘が溢れる地、奈良。今日も道の駅 針テラスでは、ツーリング中のライダー、家族連れ、長距離トラックの運転手・・・時代が変わり、行き交う人々の様相が変わっても、なお多くの人がこの地を踏み、時を作っていく。ふと立ち止まって、クシタニカフェでコーヒーを一杯頼む。コーヒーの豊かな香りが鼻をかすめて消えて行くように、力強くも儚く移り行く時に思いを馳せる。
ライダーズカフェを開くきっかけは?
前身となるクシタニカフェの一号店は、2013年に神奈川県の箱根ターンパイク内 大観山展望台にポップアップストアとしてオープンした。
箱根ターンパイクといえば、近郊のライダーにとっては言わずと知れたワインディングルート。そのような場所だからこそ、縁石に座って缶コーヒーを飲むよりも、ゆったりとしたラウンジでおいしいコーヒーを味わってほしいと思った。そこで口にするのは、薫り高いコーヒーや気持ちを落ち着かせるハーブティー。オーガニック素材にこだわったメニューの数々は、バイクを操ることに夢中になり疲れた身体を優しくいたわる。店内の中央には、プロテクション装備を中心にバイクウェアを展示・販売した。
ライダーを守り、バイク文化を守りたい。バイクのある生活を、より魅力的なものに高めたい。あくなき探究心が、ものづくり同様に品質を追求し、「本物」にこだわるカフェを誕生させた。