新型コロナ「オミクロン株改」が大流行している。令和4年8月25日時点の本邦の累計感染者数は1780万人を超え人口の一割以上が感染し、現在感染者は200万人超である。一方「かかりつけ医」の学会であるプライマリケア連合学会ほか4学会合同の市民向け緊急声明(ガイドライン)が発出された。
新型コロナの特性や軽症化傾向を踏まえた冷静な内容である。筆者は厚生労働省が公開している疫学データを解析し、重症化率と死亡率が確実に低下傾向と確認した。新型コロナ死亡者の大半は天寿と言うべき高齢者であり、「コロナヒステリー」からの脱却と社会そして個々の精神の健全化を考えるべきだ。
疫学統計的真実
厚生労働省が公開している疫学データを解析すると、グラフの通り、第1波から第4波までは陽性者数は2万人~32万人に対し死亡率は2.2%~1.74%と、死亡率は低下傾向である。第5波は78万人、第6波は603万人と陽性者が急増したが、死亡率は0.39%、0.20%と激減した。これには ①ウイルスが弱毒化した=新型コロナの脅威は低下、②検査数が増えスクリーニング効果発生 という二つの見方がある。
検査数は2020年5月第一週で50827件に対して、本年7月第五週は222万1967件と激増している。その結果、福島原発事故後の小児甲状腺がんの全数検査により軽微な異常が多数発見されたのと同様に「スクリーニング効果」が起きていると考えられる。
昨冬の厚労省調査では自然感染後を示すN抗体保有率は、東京都2.80%、大阪府3.78%、宮城県 1.18%、愛知県1.58%、福岡県1.45%となっている。現時点での累計感染者数は1780万人、国民の1割超であるが、調査時点での累計感染者数は170万人ほどで複数回感染者も居るので妥当に見える(感染者170万人/総人口=1.36%)。
新型コロナは当初発症者だけを見ていたため死亡率が「高く見えた」が、無症状者まで調べるようになり「死亡率は高くない」と判明した、スクリーニング効果により大流行に見えるが死ぬことはほとんど無い、と言える。
死亡者の真実とその意味
新型コロナ死亡者の年代別割合は90代以上が24.72%、80代が40.42%合わせて65.14%つまり「新型コロナ死亡者は大半が80代以上」さらに70代まで合わせれば86.77%である。現役世代は基礎疾患が無ければ「まず死なない」。
本稿投稿時点(2022/8/25)の我が国の新型コロナ死亡率は0.21%、死亡者数は2年半で38000人ほど、我が国死因の5位前後である肺炎の年間約12万人に比してはるかに少ない。類似のウイルス感染症インフルエンザは五類感染症のため全数把握ではないが年間1000万人が罹患すると考えられており、年間死亡者は4000人弱、超過死亡が1万人程度と見られている。
日本人の平均寿命は男81.64歳、女87.74歳、「自立生活できる」健康寿命は男72.68歳、女は75.38歳である。新型コロナも結果は肺炎であり、80代以上なら天寿と言える。一方近年は入浴中の死亡が年間1万人以上、高齢者の自殺は年間1万人以上と問題視されている、ならば「本当の生命の脅威」は何か?
クラスターの一割でしかない飲食店や宿泊施設の自粛休業は史上最大の倒産廃業を招き、女性若者の自殺者は増加し、休校は子供たちの心身を害している。天寿の高齢者を一時だけ盲目的延命するために、コロナに限りそれらの犠牲を払うことは妥当なのか?コロナ死の高齢者は末期(まつご)に家族に会えず触れられず袋詰めにされ骨にされる、それは人間の最後にふさわしい尊厳あるものなのか?
元来健康な人はコロナでも風邪でも3日休めば通常回復する。茅ヶ崎市や相模原市のように国保にも傷病手当金制度を制定し休みやすくすればよい。新型コロナで死ぬ高齢者は天寿である。それが科学的に明白になった以上、ヒステリックな施策と行動は止めるべきだ。
文・五十嵐 直敬/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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