ピエロス・ソティリウ(左)加藤陸次樹(右)写真:Getty Images

2022JリーグYBCルヴァンカップ決勝が10月22日に行われ、セレッソ大阪とサンフレッチェ広島が対戦。

C大阪のFW加藤陸次樹が相手DF佐々木翔のバックパスを奪い、後半8分に先制ゴールをゲット。相手FWナッシム・ベン・カリファの顔面を殴ったと判定され、同34分にDFマテイ・ヨニッチが退場を命じられてからもC大阪は粘り強い守備を見せたが、アディショナルタイムに相手のコーナーキックからDF鳥海晃司が自陣ペナルティエリアでハンドの反則を犯してしまう。

これによるPKを広島のFWピエロス・ソティリウに物にされると(後半51分)、この5分後にもコーナーキックから同選手にゴールを奪われ、C大阪は1-2で敗北。2シーズン連続の準優勝に終わっている。

あと一歩のところで優勝を逃したC大阪。ヨニッチの退場により守勢にまわる時間が長くなり、これが後半アディショナルタイムの連続被弾の遠因となったのは確かだが、敗因をこの一つに断定するのは早計だろう。今回はC大阪の緻密な攻守を振り返りながら、同クラブが活かせなかった勝機についても言及する。


ルヴァン杯決勝、C大阪vs広島のスターティングメンバー

C大阪が物にしたかった決定機

キックオフ直後から、基本布陣[4-4-2]のC大阪に対し、広島が[3-4-2-1]の守備隊形でハイプレスをかける展開に。C大阪の最終ラインからボランチの鈴木徳真へのパスコースを、1トップのベン・カリファが塞いだほか、野上結貴と川村拓夢の両ウイングバックも、C大阪の両サイドバックにアプローチ。C大阪の自陣後方からのパスワークを封じにかかった。

広島のハイプレスを浴びながらも、C大阪は前半2分50秒すぎに決定機を創出。自陣ペナルティエリアでのヨニッチのクリアボールが奥埜博亮、毎熊晟矢、上門知樹の順で繋がると、ここから同クラブのロングカウンターが発動。右サイドを駆け上がった毎熊のクロスボールに上門が右足で合わせるも、シュートはゴールの枠外に逸れた。奥埜や毎熊に対する、広島のボランチ野津田岳人やセンターバックの佐々木のアプローチが遅れた隙を突けていただけに、C大阪としてはこのチャンスを物にして試合を有利に進めたかった。

セレッソ大阪 FW加藤陸次樹 写真:Getty Images

その後もC大阪は山中亮輔と松田陸の両サイドバックからのロングパスで、広島のハイプレスを回避。上門と加藤の2トップが広島の3バックの背後を狙い続け、ここにボールを集めるという約束事が徹底されていた。

1点リードで迎えた後半11分すぎには、GKキム・ジンヒョンのロングフィードが、広島の3バックの背後に走った毎熊に繋がる。同選手が敵陣ペナルティエリア右隅でシュートを放ったが、相手GK大迫敬介のファインセーブにより追加点を奪えず。試合の趨勢が決するかもしれない分岐点が前後半に一度ずつあっただけに、これらの決定機を活かせなかったこともC大阪の敗因と言えるだろう。

セレッソ大阪 小菊昭雄監督 写真:Getty Images