【カフェの特徴】
静岡県浜松市の西部に位置する浜名湖は、太平洋とつながる汽水湖として有名だ。多種多様な生物が生息しており、古くから漁業が盛んに営まれてきた。魚釣りや水遊び、観光を楽しむ人々も多くみられ、岸辺を歩くと、子どもたちの笑い声が潮風にのってやってくる。その浜名湖の西岸にある自然豊かな観光地、舘山寺地区。温泉街の一角に2019年8月、5店舗目のクシタニカフェとしてオープンしたのが舘山寺店だ。
ここに住む人々の気質を表す言葉に「やらまいか」という方言がある。これは「やってみよう」「やってやろうじゃないか」という新しいことにチャレンジする精神を表すもので、世界を代表する企業を数多く輩出してきた浜松を象徴する言葉だ。クシタニカフェ舘山寺の出店は、まさにこの「やらまいか」精神によるものであった。地域の商業活性化に乗り出そうと舘山寺地区のリノベーションが企てられた際に、同じ浜松の企業として白羽の矢が立ったのがクシタニであった。創業以来の理念を大切にしながらも、既存の枠組みを超えた取り組みを行い、新たな文化・歴史を創造してきたクシタニ。両者の思いは合致した。
舘山寺店は既存のクシタニカフェの枠組みを超え、古民家をリノベーションし、内装もアンティーク家具を中心に取り揃えられた。懐かしい、しかし洗練された店構えは、街に溶け込み多くの人々の憩いの場となるに時間はかからなかった。今日も店内では、ツーリングに訪れるライダーはもちろん、静かに本を読む人やおしゃべりに花を咲かせるグループ、みな思い思いにゆったりと流れる時間を楽しむ。
ライダーズカフェを開くきっかけは?
前身となるクシタニカフェの一号店は、2013年に神奈川県の箱根ターンパイク内 大観山展望台にポップアップストアとしてオープンした。
箱根ターンパイクといえば、近郊のライダーにとっては言わずと知れたワインディングルート。そのような場所だからこそ、縁石に座って缶コーヒーを飲むよりも、ゆったりとしたラウンジでおいしいコーヒーを味わってほしいと思った。そこで口にするのは、薫り高いコーヒーや気持ちを落ち着かせるハーブティー。オーガニック素材にこだわったメニューの数々は、バイクを操ることに夢中になり疲れた身体を優しくいたわる。店内の中央には、プロテクション装備を中心にバイクウェアを展示・販売した。
ライダーを守り、バイク文化を守りたい。バイクのある生活を、より魅力的なものに高めたい。あくなき探究心が、ものづくり同様に品質を追求し、「本物」にこだわるカフェを誕生させた。