目次

  1. ■音楽が贅沢品だったあの頃、人々にはミロンガがあった
    1. ■店主とっておきの一枚
    2. ■音響機材

■音楽が贅沢品だったあの頃、人々にはミロンガがあった

その景観の美しさから“南米のパリ”と称えられるアルゼンチンの首都・ブエノスアイレス。ヨーロッパを想起する情緒あふれる街並みの中、ラ・ボカ地区で情熱的な人々に愛され育った音楽こそが、アルゼンチン・タンゴである。

ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=『男の隠れ家デジタル』より 引用)

一方、日本屈指の本の街として知られる東京・神保町。昔ながらの古書店や昭和的な近代ビルが建ち並ぶ大通りから、一つ二つと路地を行くと赤レンガの壁がひっそりと目の前に現れる。アルゼンチン・タンゴを聴かせてくれる老舗喫茶「ミロンガ・ヌオーバ」だ。

ミロンガはタンゴ用語で「2拍子の軽快なダンス」や「アルゼンチン・タンゴのダンスパーティー」という意味があり、ヌオーバはスペイン語で「新しい」という意味。

ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=『男の隠れ家デジタル』より 引用)

昭和28年(1953)、ウィンナーコーヒー発祥の店である神保町屈指の老舗喫茶「ラドリオ」の姉妹店として創業し、70周年を来年に控えた今に至っても創業当時と変わらずアルゼンチン・タンゴの名盤たちが空間を抱擁している。

「タンゴファンの方々は一途なんです。日本でタンゴが流行った時代の常連だった人の中には、いまだに足を運んでくださる方もいらっしゃいます」と話す店長の浅見加代子さん。

ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=プレーヤーの前で盤を選ぶ浅見さん。手前の飾り窓には懐かしの喫茶店マッチ、今はなき名店も。、『男の隠れ家デジタル』より 引用)
ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=リクエストノートは手書き、音楽への愛がうかがえる。,『男の隠れ家デジタル』より 引用)
ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=創業時から音を奏でるALTECのスピーカーは壁に埋め込まれている。,『男の隠れ家デジタル』より 引用)

居心地の良い椅子に座り、香ばしい珈琲を片手に耳を傾け、音楽やレコードが贅沢品だった戦後に思いを馳せる。当時の若者たちがここに集い、タンゴのリズムに揺られ、時に賑やかに語り合った情景が脳裏に浮かび、見ず知らずの懐かしさが込み上げるのである。

ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=プレーヤーは年代物のDENONと、最近になって新たに購入したTechnicsを併用している。「SP用に念願の78回転でかけられる機材をやっと導入することができました」と浅見さん。,『男の隠れ家デジタル』より 引用)

■店主とっておきの一枚

ミロンガ・ヌオーバ|タンゴを心から愛す人々が集う老舗喫茶
(画像=『男の隠れ家デジタル』より 引用)
  • 黄金時代のオルケスタ・ティピカ・ビクトル 第2集
  • オルケスタ・ティピカ・ビクトル
  • レーベル/RCA

その世界では著名な楽団による名曲を収めた一枚。アルゼンチン・タンゴの魅力は「“明るい”“元気”だけでなくセンチメンタルな部分もあって日本人に合うのかな」とのこと。

■音響機材

  • レコードプレーヤー:DENON、Technics
  • アンプ:DENON
  • スピーカー:ALTEC、VICTOR GLOBE SPEAKER GB-1H

ミロンガ・ヌオーバ
昭和28年(1953)創業
東京都千代田区神田神保町1-3
TEL:03-3295-1716
営業時間:11:30~22:30(土日祝~19:00)
定休日:水曜
席数:テーブル49席
アクセス:東京メトロ「神保町駅」より徒歩約2分

文/田村 巴 撮影/菊田香太郎

提供元・男の隠れ家デジタル

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