カッシーナ・イクスシー(Cassina IXC.)の代表取締役社長執行役員の森康洋氏が、一身上の都合で9月30日付けで辞任をしていた。その背景には、森氏のパワハラ問題があると 『週刊文春』が詳報している。

カッシーナ・イクスシーの社長在任中、『ブランデッドショート(BRANDED SHORTS)』でのインタビュー記事で森氏は自身の価値観や考えを語っており、なかなか強い意志を持っていたことがうかがえる。

例えば、学生時代に所属していたラグビー部について吐露しており、高校の部活と大学の体育会は全く異なり苦しい思いをし、勝つためには練習しかない、と根性でひたすら練習し続けたという。下宿では1部屋に8人が詰め込まれ、下級生にベッドは無く、床に布団を敷き監獄のような場所で100人の部員と共同生活をしていた。プライベートは一切なかったと、強靭なメンタルが培われた学生時代を語っている。

また、慶應義塾大学卒業後に入社したレナウンでは、1992年に米国ニューヨークに赴任を命じられ、現地で8年を過ごした。アメリカ人は意思決定するのが早い。日本の会社は個人でリスクをとることを避けるため集団で相談して物事を決めたり、誰も決めなかったり、責任の所在を曖昧にする傾向がある。アメリカの社会を見たら日本の社会に違和感を覚え、帰国後、日本の会社はつまらないと感じてレナウンを辞めたと言う。

レナウン退社後はアクタスや「東京ばな奈」のグレープストーンで要職を歴任し、カッシーナ・イクスシーには2010年に入社した。翌年3月に社長に就任したが、体育会系のノリが染み付き、アメリカで得たどんどん決断をしていく姿勢とタフなメンタルを、社員にも押し付けていたのかもしれない。同調圧力が強い日本の社会でそれを求めることは、厳しい部分があるだろう。

インタビューの最後で述べた、「当社の社員が生き生きと働き、仕事を通してたくさんの人たちと知り合いながら、成長していってほしい。そして、私は、彼ら彼女らが年を重ねた時に、ああ、ここで働いてよかったなと思えるような会社にしていきたいです。社員が幸せであること、笑顔で元気よく働けることの延長線上に、お客様の幸せもあると思っていますから」と、社員を大切に思う言葉は本心だったのだろうか。

突然辞任した社長に代わり、新しい経営体制に移行するまでの間、代表取締役会長の高橋洋二が社長執行役員を兼任していく。

文・伴野由佳/提供元・SEVENTIE TWO

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