小説や映画、ゲームなどのフィクションでは、たびたび人類の大部分が死に絶えた終末世界「ポストアポカリプス」が扱われます。
その世界では、核兵器や自然災害、疫病によって資源のほとんどが失われています。
もし、そんな中で人類が生き延びないといけないなら、おぞましいと感じる手段を使ってでも食料を確保する必要が出てくるでしょう。
デザイナーのパベルス・リーピンス氏は、将来の危機的な状況を見据えて、廃プラスチックを食べるミールワームと共生する「昆虫スーツ(Inxect Suit)」を開発しました。
人間の体温と地上に散らばった廃プラスチックでミールワームがスーツ内で繁殖し、そのミールワームを食べて人間がタンパク質を得るというのです。
終末世界で人間と共生するのはプラスチックを食べるミールワーム?
今回発表されたスーツは、デザインがなんだかゲーム「デス・ストランディング」に登場するものに似ている気がしますが、実際荒廃した文明崩壊後の世界での利用が想定されているようです。
一部の生物には共生(相互関係をもちながら生活すること)が見られます。
例えば、ヤドカリと小型イソギンチャクは共生しています。
ヤドカリは毒をもったイソギンチャクを貝殻につけて身を守っており、イソギンチャクの方もエサのおこぼれをもらうのです。
もし終末世界のように多くの生物が絶滅し、資源も枯渇している状況になれば、人間も共生できる生物を見つけ出す必要があるかもしれません。
リーピンス氏は人間の共生対象として、飼育動物の生餌にされる「ミールワーム」に着目しました。
スタンフォード大学(Stanford University)の2015年の研究と2019年の研究では、一般的なミールワームが日常的に使用されるプラスチック「ポリスチレン」を食べて消化できると報告されています。
「発泡スチロールを食べるムシ」がプラスチック問題を解決する、と建築家が提案【ムシ注意】
しかも体内に有毒成分を蓄えることがありません。
このことは、廃プラスチックを与えたミールワームが、動物や人間にとって貴重な食料(タンパク源)になる可能性を示しています。
そこでリーピンス氏は、人間とミールワームが共生できる一体型スーツ「昆虫スーツ」を開発しました。