我が国では、未だに街中でマスクを付けている人が圧倒的多数である。SNSでは海外在住者視点で、「マスクをしない人が多い」という現況を把握できる投稿を見つけることができる。
また6月10日以降、外国人観光客の受入れ開始となったが「日本では未だにマスクをしている人が多い」という外国人からの驚きの反応もあるようだ。さらに政府は厚生労働省からも「屋外で会話を行わない、もしくは距離を取ることができるならマスクは不要」というガイドラインも出している。
筆者は感染症を軽んじてこのように言っているわけではない。感染リスク度合いに関わらず、もはやマスクを付けることが新たなスタンダードになってしまうことを危惧している。また、なぜ日本人はいつまでもマスクを外せないのか? という2つの理由を論考したい。
1. 同調圧力によるリスク回避
1つ目にはリスク回避である。最近は時期的に暑くなってきたこともあり、「熱中症予防のために脱マスク」が叫ばれるようになった。日常的にネットの情報に触れている生活習慣の持ち主なら、そのことは誰もが見聞きしているはずだ。しかし、そのような最新情報をすべての人が把握しているわけではない。
特にテレビしか見ないようなお年寄りは、感染拡大の脅威論が広がっていた2020年の感覚で止まっている人も多い。マスクをしない人を見つけると、激しく叱りつける人も存在する。
最近、実際に筆者は無言で屋外を一人で徒歩移動中に見知らぬお年寄りから「マスクつけなさいよ」と注意を受けた。このような経験があると、「対応が面倒なのでマスクをつけておこう」というリスク回避の考えが生まれてしまいかねない。
日本人は政府からトップダウンの指示に従うより、周囲の同調圧力を重視する傾向があるように思う。
2. マスクは楽
ひげを剃らなくて良かったり、入念な化粧が不要ということで、顔を隠せるマスクは「顔のメンテナンスが楽になる」という実用面?からそうしている人もいるようだ。
だが安穏とはしていられない。今、知られざる危機が静かに訪れている。あるテレビ番組でのマスクをする子供へのインタビューで「マスクをすると気楽。外して自分の素顔を見られるのが恥ずかしい」と答えていた。これは恐るべきことである。屋外でも運動や、通学時だけでもマスクを外すように積極指導しなければ、心理発達上の大きな禍根を残してしまわないかと思わされる。
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未だに人や施設によっては、入念なアルコール消毒や、入場制限など時に「過剰」と思えるほどの対応を求められることがある。あるプールでは「普通のプールは使用OK、ウォータースライダーは禁止。プールサイドではマスク必須」という首をかしげるような告知も見られた。
いきなり完全撤廃しろとは言わないが、屋外移動中など少しずつでも脱マスクを進めるタイミングが来ているのではないだろうか。
文・黒坂 岳央
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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