「さあ、減量しよう!」という気持ちに切り変えて、最初からスイッチを入れていきます。ポイントは起床直後のウォーキングです
松本 去年と今年は92㎏までいきました。一昨年は88㎏からスタートして、東京選手権に出たときの仕上がり体重が73㎏でした。そのシーズンが4年ぶりの復帰だったのですが、いざ減量を始めてみたら、ストレスを感じることなくスーッと落とせていけました。同年の世界クラシックに出場したときは67㎏まで絞りました。去年のアジア選手権では92㎏から67㎏まで絞ったので、水抜きを含めても約25㎏も減量になりますね(苦笑)。
――すさまじい減量幅ですね。
松本 私の場合、ポイントは起床時にすぐウォーキングに出かけることですね。起きて、ホットコーヒーもしくは緑茶を飲んで、カルニチンを摂って、それから40分ほどウォーキングをします。これを毎日行います。
――それは減量に入った最初の時点から行うのですか。
松本 そうです。「さあ、減量しよう!」という気持ちに切り替えて、最初からスイッチを入れていきます。段階を踏みながら(減量の)引き出しを開けていくタイプの人もいるかと思いますが、私は減量に入った段階で全てを切り替えて、それを最後まで続けていきます。
――トレーニングに関しては?松本 大筋群のボリュームを増やすというところでしょうか。特に脚ですね。昔の私は脚のカットがなかなか出せなくて、当時は脚のトレーニングはスクワットから始めていたんです。そして4年ぶりにコンテストに復帰したときに、レッグエクステンションから始めるようにしたんです。そのあとに行うスクワットは当然、以前よりも使用重量が下がるんですが、このメニューにしてからカットが出るようになってきたんです。レッグエクステンションは最初に10セットくらいやって、最後のほうにも行います。これは20回ほどができる中程度の強度で、シシースクワットとのスーパーセットで行います。そのあと、締めにスクワットをもう1回やります。
――ハードなメニューですね。
松本 大筋群のトレーニングのボリュームを増やすとカロリー消費量も大きくなります。その分、食べる量を増やせるので、筋肉の張りを損なうこともありません。ジャガー佐藤選手のように食べ過ぎたら体調を崩すというハードゲイナータイプの人は小分けにして食べていくのが合っていると思いますが、私のようなイージーゲイナータイプの大食漢の方は早めに減量を始めて、また減量幅が大きいのでストレスを溜めないようにうまくチートや息抜きをしていったほうがいいです。私の場合は4カ月 半ほどの減量期間を設けました。
――食事はどのようなものを?
松本 豚肉が多いです。コラーゲンが豊富で、肌にもいいので(笑)。なるべく脂身の少ない部位を選ぶようにはしています。脂身が多い場合は、一度焼いてからフライパンについた脂をキッチンタオルで拭き取ってから焼くか、もしくは湯がくか、そのどちらかにします。
――1食の量は?
松本 300gくらいです。朝と昼は多めに食べて、夜は少し量を抑えます。夜は魚にすることも多いです。炭水化物は玄米が中心で、量は茶碗1杯分程度です。また便秘にならないようにオールブランを食べることもあります。夜は炭水化物は食べません。
――チートも入れるのですね。松本 週に1回、ステーキガストに行きます。これが楽しみなんですよ(笑)。友達と食べに行っても、ビュッフェスタイルでお互いに好きなものを食べられるので、ケンカになりませんし(苦笑)。ステーキガストはおすすめですよ。
――そこでストレスも解消するのですね。
松本 そうです。あとは、眠らなくていいので横になること! 10分くらいでもいいので、横になって内臓を休憩・回復させます。また、ポージング練習でもあるアイソメトリック種目を短時間でもいいのでやっていくことです。ほかにも、大事なのはお風呂!
――お風呂?
松本 毎日の入浴でHSP(ヒートショックプロテイン)を増加させて、疲れの軽減や回復、タンパク質の修復を促していきます。ホルモンバランスや自立神経を整える意味もあります。私は朝にウォーキングをしたら、そのままジムに行って温泉と水風呂に繰り返し入って、自宅に戻って朝食を食べて出勤していたんですが、このサイクルがすごくよかったです。
――体重の落ち方が止まったときは、どのような対処をするのでしょう。
松本 体に刺激を与えるために、トレーニング後にパワーマックスをやります。20秒全力・60秒流しを10セットです。
――世界クラシック選手権で67㎏まで絞ったときは、どのような方法を採ったのですか。
松本 夜も有酸素運動をやるようにして、検量をパスしないと話にならないので仕方なく食事量も減らしました。食事量を減らすと、意外と落ちないんです。そして、何も食べずに飛行機に乗って、現地に着いてからサウナに4時間半ほど入って4㎏ほど落としました。もうミイラみたいになってしまいました(苦笑)。その年は国内で8試合に出て、11月に世界クラシック選手権に出場しました。翌年5月には東京オープン選手権のゲストポーズがあったので、ほとんどオフが取れなかったんです。だから、いつも通りの仕上がりにはならなかったですね。内胚葉型はちゃんとオフを取ったほうがいいと思いました。