私たちが空想するアンドロイド(人間そっくりなロボット)と、現実のアンドロイドには大きな隔たりがあります。
実際に開発されてきたロボットは、「人型」ではあっても本物の人間には似ていないのです。
ところが、アメリカ・ニューヨークを拠点とするロボット開発企業「クローン」は、その名が示すとおり、単なる人型ロボットではなく、人間そっくりなアンドロイドを本気で生み出そうとしています。
現在は人工筋肉で動くロボットハンドを開発中であり、動画では、人間らしく動く様子が公開されています。
人工筋肉で動く本物そっくりなロボットハンド「クローンハンド」
クローン社が開発したロボットハンド「クローンハンド」は、まるで本物の人間の手のように動作します。
中身には人工筋肉が詰まっており、薄いスキンをまとった姿は、人間の手とほとんど変わらないシルエットになっています。
動画では、さまざまな重さや形状の物体をつかむ様子が映し出されています。
この人間らしい動きの秘密の1つは、ロボットハンドの自由度(手や足を動かせる方向)にあります。
クローン社によると、「クローンハンドには、人間の手にある27の自由度すべてが含まれている」とのこと。
2022年9月に公開されたテスラ社の人型ロボット「オプティマス」試作機は、両手の自由度が11でした。
ここからも、クローン社の「模倣に対する本気度」がうかがえます。
お披露目されたテスラのロボットは良くも悪くも期待通りだった
そして人間に近いスタイリッシュな形状を可能にしているのが、人工筋肉です。
現在のプロトタイプでは、36個の小型電気油圧バルブ(各26.5g)によって人工筋肉を制御しており、これが「細くても強い力」や「なめらかな動き」を可能にしています。
また、クローンハンドの応答時間は0.05~0.1秒であり、7kgの負荷にも耐えられるのだとか。
さらにクローン社の主張によると、「独自開発した人工筋肉は、安価に製造できるだけでなく、人間の筋肉と同じくらい強くて同じ反応をする」とのこと。
見た目だけでなく、その機能も人間に近づいているのです。
では、人間そっくりのロボットハンドを開発することには、どんなメリットがあるのでしょうか?