宇宙開発分野で世界最大級のカンファレンスイベント「IAC2022」が、フランス・パリで9月18日から5日間にわたって開催されました。

宇宙用のハードウェアメーカーで、有人月面探査車の開発に取り組むアメリカのTeledyne Brown Engineering(テレダイン・ブラウン・エンジニアリング、以下Teledyne)の展示ブースには、白みがかかったタイヤが展示されていて、来場者の目を留めていました。

金属製・空気なしのタイヤを開発中!?有人月面探査車開発にブリヂストンが参画【宇宙ビジネスニュース】
(画像=『宙畑』より 引用)

これは日本のタイヤメーカー・ブリヂストンが過酷な月面を走行する有人月面探査車での使用を想定して研究開発を進めている金属製のエアレスタイヤです。

ブリヂストンで月面用のタイヤの研究開発を担当する片山昌宏さんは、地上向けのタイヤとの違いについて

「通常のタイヤに使用しているゴムや有機繊維が使えないというのが大きな違いです。月面は真空状態で空気が使えない上に、温度は-170度から+120度まで非常に幅が広くなっています。さらに強い宇宙放射線が降り注いでいます。こうした環境の違いを踏まえて、我々は金属製で非空気入りのタイヤを使っています」

と説明しました。

ブリヂストンは2019年4月に、JAXAとトヨタ自動車とともに有人与圧ローバー(愛称ルナクルーザー)の研究開発に参画していました。

さらに、9月18日にTeledyneが主導する有人月面探査車の開発チームに参画することを新たに発表しました。これはNASAのアルテミス計画向けの有人月面探査車で、宇宙往還機や商用宇宙ステーションなどの開発に取り組むSierra Space(シエラ・スペース)と日産自動車の北米拠点、航空機関連の製品やサービスを提供するアメリカのテクストロンがこれまでに開発チームに加わっています。

ブリヂストンの片山さんによると、月面向けのタイヤ開発を通じて培った技術は、災害現場をはじめ、地上用のタイヤ開発でも生かせる可能性があるということです。

金属製・空気なしのタイヤを開発中!?有人月面探査車開発にブリヂストンが参画【宇宙ビジネスニュース】
(画像=『宙畑』より 引用)

提供元・宙畑

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